経営事項審査(経審)について調べていると、「P点」という言葉をよく目にします。
「P点が高いと入札に有利なの?」
「そもそもP点は何を表しているの?」
「自社のP点は、どのように決まっているの?」
「結果通知書のP点をどう見ればいいの?」
このような疑問を持つ建設業者の方も多いのではないでしょうか。
P点は、経営事項審査における総合評定値です。
この記事では、P点の基本的な意味と算出の仕組み、結果通知書を見るときのポイントを解説します。
なお、X1・X2・Y・Z・Wそれぞれの具体的な評価内容については、この記事では詳しく説明しません。
それぞれの評価項目を詳しく知りたい方は、関連する記事をご覧ください。
P点とは「総合評定値」のこと
P点とは、経営事項審査における総合評定値(P)をいいます。
経審では、建設業者について、
- 経営規模
- 経営状況
- 技術力
- 社会性等
といった複数の項目が評価されます。
その評価結果を一定の算式で合算したものが、総合評定値であるP点です。
国土交通省の制度説明でも、「経営状況分析」の結果であるYと、「経営規模等評価」の結果であるX・Z・Wをもとに総合評定値Pを算出する仕組みとされています。
つまり、P点は、
経審における会社全体の評価を、1つの数値として表したもの
と考えると分かりやすいでしょう。
P点は何のために使われる?
P点は、公共工事の入札参加資格審査などにおいて、建設業者の客観的な評価を行う際の基礎となります。
ただし、
「P点が○点あれば、必ず公共工事を受注できる」
というものではありません。
実際の入札参加資格や格付け、入札できる工事の範囲などは、発注者ごとの制度や工事ごとの条件などによって異なります。
例えば、自治体によっては経審のP点などをもとに等級区分や総合点数を定めています。
そのため、P点を見るときは、
「自社の評価を表す重要な数値」
と理解したうえで、
「実際にどの工事の入札に参加できるかは、発注者ごとの制度も確認する」
ことが大切です。
P点はどうやって決まる?
P点は、X1・X2・Y・Z・Wという5つの評価結果を一定の割合で合算して算出します。
2026年7月1日以降の申請では、算式は次のとおりです。
P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.20Y + 0.25Z + 0.15W
国土交通省が公表している改正後の資料でも、この算式が示されています。
それぞれの割合を表にすると、次のようになります。
| 評価項目 | 主な評価内容 | P点への割合 |
| X1 | 完成工事高 | 25% |
| X2 | 自己資本額・利益額 | 15% |
| Y | 経営状況 | 20% |
| Z | 技術力 | 25% |
| W | その他の審査項目(社会性等) | 15% |
この表から分かるように、P点は1つの項目だけで決まるものではありません。
X1・Zがそれぞれ25%、Yが20%、X2・Wがそれぞれ15%という構成になっています。
X1・X2・Y・Z・Wとは?
P点を理解するためには、X1・X2・Y・Z・Wが何を意味するのかを大まかに把握しておくと分かりやすいでしょう。
X1:完成工事高
X1は、主として業種別の完成工事高を評価する項目です。
どの業種でどれだけの完成工事高があるのかによって評価が変わります。
完成工事高について詳しく知りたい方は、
をご覧ください。
X2:自己資本額・利益額
X2では、自己資本額と利益額が評価されます。
会社の財務的な規模や利益に関する評価です。
ただし、具体的な計算方法まで理解するには、経審独自の算定方法を確認する必要があります。
Y:経営状況
Yは、経営状況分析の結果です。
財務諸表などをもとに、会社の経営状況が評価されます。
Yは、X1・X2・Z・Wとは異なり、登録経営状況分析機関による経営状況分析と関係しています。
そのため、P点を考えるときは、
「経審の申請書だけを見ればP点が決まる」
というものではありません。
決算内容や財務諸表の確認も重要になります。
Z:技術力
Zでは、主として技術職員数と元請完成工事高が評価されます。
特に技術職員については、資格の種類や人数などによって評価が変わるため、単純に「技術者が多ければ高くなる」と考えることはできません。
技術職員について詳しく知りたい方は、
をご覧ください。
W:その他の審査項目(社会性等)
Wでは、社会性等に関する複数の項目が評価されます。
例えば、建設業の担い手の育成・確保、防災活動への貢献、法令遵守、建設業の経理、研究開発、建設機械、ISOなど、さまざまな項目が関係します。
2026年7月1日以降の申請についても、WはP点の15%を占める評価項目です。
W点について詳しく知りたい方は、
「経審のW点を詳しく解説|社会性等の評価項目と確認したいポイント」
をご覧ください。
P点の計算イメージ
例えば、仮に、
- X1=800点
- X2=700点
- Y=600点
- Z=900点
- W=500点
だったとします。
この場合、
800 × 0.25
+
700 × 0.15
+
600 × 0.20
+
900 × 0.25
+
500 × 0.15
という形で、それぞれの評価をウェイトに応じて合算します。
つまり、P点を見るときは単純に5つの点数を足すのではなく、それぞれの評価項目に設定された割合を掛けて合算するということです。
なお、実際のP点は、経審の算定方法に基づいて計算されるため、ここでは仕組みを理解するための簡単な例として示しています。
P点は「高ければ高いほどよい」とだけ考えない
P点を調べていると、
「P点を上げたい」
と考える方も多いと思います。
もちろん、公共工事の入札参加を考えるうえで、自社のP点を確認することは重要です。
ただし、P点だけを見て、
「とにかく点数を上げればよい」
と考えるのは適切とは限りません。
例えば、
- どの業種で入札したいのか
- どの自治体の公共工事を希望するのか
- 現在どの程度のP点なのか
- どの評価項目が自社の点数に影響しているのか
- 次回の経審までに対応できる項目があるのか
などを確認する必要があります。
また、評価項目によっては、単に申請時に準備すれば点数が上がるものではなく、審査基準日までの状況や所定の要件を満たしていることが必要な場合があります。
そのため、P点対策を考える場合は、次回の経審直前ではなく、早めに現在の状況を確認することが大切です。
「P点が上がった=すべての入札で有利」とは限らない
ここも重要なポイントです。
P点は経審における総合評定値ですが、公共工事の入札参加資格は発注者ごとに定められています。
そのため、
P点
↓
入札参加資格の審査・格付け
↓
個別の入札
というように、いくつかの段階があります。
例えば、ある自治体ではP点を基礎として独自の点数を加算したり、等級区分を設定したりする場合があります。
したがって、
「P点が前回より50点上がったから、すべての自治体でランクが上がる」
とは限りません。
自社が実際に参加したい公共工事がある場合は、その発注者の入札参加資格制度も確認する必要があります。
結果通知書では、P点だけでなく各項目も確認する
経審の結果通知書を受け取ったら、まずP点を見る方が多いと思います。
しかし、P点だけを見るのではなく、
X1・X2・Y・Z・W
も確認しておくことをおすすめします。
例えば、
「前回よりP点が下がった」
という場合でも、P点だけを見ていては原因が分かりません。
X1が下がったのか、
Zが下がったのか、
Yが変化したのか、
Wの評価が変わったのか、
などを確認することで、どの部分がP点に影響したのかを考えることができます。
つまり、P点は結果を見るための数字であると同時に、X1・X2・Y・Z・Wを確認するための入口でもあります。
P点が下がったときは、まず原因を確認する
P点が前回より下がった場合、
「何か大きな問題があったのでは?」
と心配になるかもしれません。
しかし、P点が変動する理由は一つではありません。
例えば、
- 完成工事高の変化
- 自己資本額や利益額の変化
- 財務内容の変化
- 技術職員の状況
- 元請完成工事高の変化
- 社会性等の評価項目の変化
など、さまざまな要因が考えられます。
そのため、P点だけを見て判断するのではなく、前回と今回のX1・X2・Y・Z・Wを比較することが重要です。
P点を上げるには、まず「どこを確認するか」を決める
P点を上げたい場合も、いきなり加点項目を探すのではなく、まず現在の評価状況を確認することが大切です。
例えば、
現在のP点
↓
X1・X2・Y・Z・Wを確認
↓
どの項目が影響しているか整理
↓
次回の経審までに対応可能な項目を確認
という順番で考えると、整理しやすくなります。
なお、「P点を上げるには具体的に何をすればよいのか」については、別の記事でまとめます。
「経審の評点を上げるには?まず確認したいポイント」
P点を確認するときの注意点
P点を見るときは、次の点にも注意してください。
① P点だけで入札の可否を判断しない
発注者ごとの入札参加資格や工事ごとの条件も確認する必要があります。
② 前回のP点と単純比較しない
P点の算定方法や評価項目が改正されることがあります。
2026年7月1日以降の申請についても、経審の評価項目などが改正されています。
そのため、前回と今回で制度上の条件が同じとは限りません。
③ 業種ごとの評価にも注意する
完成工事高や技術力は、許可業種別に評価されます。
そのため、「会社全体の売上が増えたから、すべての業種のP点が上がる」と単純には考えられません。
④ 次回の経審までにできることを考える
加点項目の中には、審査基準日までの状況などが関係するものがあります。
「経審の申請直前に準備すればよい」とは限らないため、早めの確認が大切です。
まとめ
P点とは、経営事項審査における総合評定値です。
2026年7月1日以降の申請では、
P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.20Y + 0.25Z + 0.15W
という算式で算出されます。
P点を理解するときは、
- X1=完成工事高
- X2=自己資本額・利益額
- Y=経営状況
- Z=技術力
- W=その他の審査項目(社会性等)
という全体像をまず押さえておくと分かりやすいでしょう。
ただし、P点が高ければ必ず入札できるわけではありません。
公共工事への入札参加を考える場合は、P点だけでなく、発注者ごとの入札参加資格や格付けなども確認する必要があります。
また、P点を上げたい場合には、まず現在のX1・X2・Y・Z・Wを確認し、どの項目を見直す必要があるのかを整理することが大切です。
自社のP点について確認したい建設業者の方へ
「現在のP点がどの程度なのか確認したい」
「前回よりP点が下がった理由を知りたい」
「希望する公共工事に対して、現在の評価でどう考えればよいのか知りたい」
という場合は、P点だけでなく、X1・X2・Y・Z・Wの内訳まで確認することが重要です。
現在の経審結果をもとに、自社の状況を整理したい場合は、事前にご相談ください。
経営事項審査(経審)のサポートについてはこちら
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