経営事項審査(経審)を初めて受ける建設業者の方にとって、分かりにくいのが「どのような書類を準備すればよいのか」という点です。
経審では、申請書だけを提出すれば終わるわけではありません。
決算関係の資料、工事に関する資料、技術職員に関する資料など、審査する項目に応じてさまざまな書類を準備します。
さらに、加点を希望する項目がある場合には、その事実を確認するための資料が必要になることがあります。
この記事では、経審を初めて受ける建設業者の方に向けて、まず何を準備すればよいのかを中心に解説します。
なお、必要書類は申請先や会社の状況、申請する項目などによって異なる場合があります。この記事だけで必要書類のすべてを判断せず、実際に申請する際には申請先の最新の案内も確認してください。
経審の必要書類は「申請書」と「確認書類」に分けて考える
経審では、大きく分けると、
- 経審の申請に使用する書類
- 申請内容を確認するための資料
を準備します。
例えば大阪府では、経営規模等評価申請書・総合評定値請求書、工事種類別完成工事高、技術職員名簿、その他の審査項目(社会性等)、工事経歴書などが申請書類として案内されています。さらに、工事請負契約書などの確認書類も必要となります。
つまり、
「申請書を作成する」ことと「申請内容を証明できる資料を準備する」ことは別
と考えておくと分かりやすいでしょう。
まず準備しておきたい基本的な資料
会社によって必要なものは異なりますが、経審を受ける場合は、まず次のような資料を整理しておくとよいでしょう。
① 決算関係の資料
経審では、会社の財務状況が評価されます。
そのため、
- 決算書
- 建設業許可の決算変更届に使用した財務諸表
- 法人税・消費税などの申告関係資料
- 減価償却に関する資料
- その他、経営状況分析に必要となる資料
などを準備します。
特に経営状況分析では、財務諸表等をもとに経営状況が分析されます。
経審では「決算書があればよい」というわけではなく、建設業法上の財務諸表との整合性なども確認する必要があります。
そのため、決算変更届を作成するときから、将来の経審を意識して資料を整理しておくことが重要です。
② 工事に関する資料
完成工事高や工事経歴などを確認するため、工事に関する資料も準備します。
代表的なものとして、
- 工事経歴書
- 工事請負契約書
- 注文書・請書
- その他、工事内容や請負金額を確認できる資料
などがあります。
ただし、どの工事について、どの資料を提出・提示する必要があるかは、申請先によって確認する必要があります。
例えば大阪府では、工事経歴書に記載した上位3件分の建設工事について、契約書、注文書、請書等の写しを確認書類として案内しています。
また、国土交通省の地方整備局の手引きでも、工事経歴書に記載された工事について、契約書等による確認が行われることが案内されています。
そのため、工事経歴書に記載する工事について、契約関係の資料を整理しておくことが大切です。
③ 技術職員に関する資料
経審では、技術力も評価されます。
そのため、技術職員について、
- 技術職員名簿
- 保有資格を確認できる資料
- 実務経験を確認する資料
- 雇用関係を確認する資料
- その他、技術職員の評価に必要となる資料
などを準備する場合があります。
具体的にどの資格や経験がどのように評価されるのかは、技術職員の記事で詳しく解説します。
こちらの記事では、必要書類だけでなく、技術職員の評価そのものについて詳しく説明する予定です。
④ 社会性等の評価に関する資料
経審では、技術力や財務状況だけでなく、社会性等に関する項目も評価されます。
例えば、該当する場合には、
- CPDに関する資料
- 技能者に関する資料
- 就業履歴の蓄積に関する資料
- 建設業退職金共済などに関する資料
- 法定外労働災害補償制度に関する資料
- 防災協定などに関する資料
- その他、社会性等の評価項目に関する確認資料
などが必要となる場合があります。
ただし、すべての会社がこれらを準備するわけではありません。
自社がどの評価項目に該当するかを確認したうえで、必要な資料だけを準備します。
また、2026年7月1日以降の経審では新たな評価項目も関係するため、古いチェックリストだけをもとに判断しないことが重要です。
⑤ 税務関係の資料
経審では、審査対象年度の消費税確定申告書や消費税納税証明書などの確認資料が必要となる場合があります。
国土交通省の手引きでは、消費税確定申告書の控え・添付書類や消費税納税証明書などが確認書類として案内されています。
そのため、
「税理士に決算申告を任せているから、経審に必要な資料は別に準備していない」
という会社の場合でも、経審に必要となる資料を税理士に確認しておくとよいでしょう。
税理士がいる会社では、税務申告に必要な資料と経審に必要な資料を整理して共有しておくことで、準備を進めやすくなります。
経審では「加点を受けたい項目」の資料も重要
経審の必要書類を考えるときに注意したいのが、加点対象となる項目の確認資料です。
例えば、
「この制度に加入している」
「この資格を持つ技術者がいる」
「この取組を行っている」
といった事情があっても、それを審査で評価してもらうためには、確認資料が必要となることがあります。
そのため、
会社に存在する資料
と
経審で評価してもらうために必要な資料
は、必ずしも同じではありません。
「何か加点できるものはないか」と考える場合には、先に評価項目を確認し、その後に必要な証明資料を確認するという順番がおすすめです。
W点については、別の記事で詳しく解説する予定です。
「経審のW点を詳しく解説|社会性等の評価項目と確認したいポイント」
書類がない場合はどうなる?
経審では、申請した内容を確認できない場合、その項目を評価してもらえないことがあります。
国土交通省の手引きでも、確認書類が提出できない場合には、対応する項目の記載が認められないことがあり、場合によっては総合評定値通知が受けられなくなることがあると案内されています。
そのため、
「実際には該当するのだから大丈夫」
と考えるのではなく、
「審査で確認できる資料があるか」
という視点で準備することが重要です。
特に、加点項目については、必要な資料を後から探すのではなく、経審の準備段階で確認しておくと安心です。
「必要書類一覧」だけを見れば大丈夫?
ここも注意が必要です。
経審の必要書類には、すべての会社に共通するものだけでなく、
- 会社の決算状況
- 申請する建設業種
- 技術職員の状況
- 加点を希望する項目
- 前回の経審の状況
- 申請先
などによって変わるものがあります。
また、申請先によって提出方法や確認書類の取扱いが異なる場合があります。
例えば大阪府では、申請書類について具体的な一覧を公表していますが、審査上必要がある場合には追加資料の提出・提示を求めることがあるとしています。
したがって、
「ネットで見つけた必要書類一覧をそのまま使えばよい」
とは限りません。
実際に申請する際には、その時点の申請先の最新の手引き・チェックリストを確認することが大切です。
大阪府・奈良県など、申請先によって確認する
経審の基本的な仕組みは全国共通ですが、実際の申請では、申請先の案内を確認する必要があります。
特に、
- どの書類を提出するのか
- どの書類を提示するのか
- コピーでよいのか
- 原本が必要なのか
- 何部提出するのか
- 追加資料が必要になる場合があるか
などは、申請先の最新情報を確認することが重要です。
そのため、奈良県で申請する会社と大阪府で申請する会社で、まったく同じチェックリストを使うとは限りません。
弊所が対応する場合も、実際の申請先の最新の取扱いを確認したうえで、必要書類を整理します。
経審の必要書類は「早めに集める」
経審の準備で避けたいのが、
「申請直前になって資料が足りないことに気づく」
というケースです。
特に、
- 工事関係の資料
- 技術職員の資格関係資料
- 雇用関係の資料
- 社会性等の確認資料
- 加点項目に関する資料
などは、すぐに用意できない場合があります。
そのため、決算が終わってから慌てて集めるのではなく、日頃から経審を意識して資料を保管しておくことが大切です。
経審の必要書類を整理するときのチェックポイント
初めて経審を受ける会社は、まず次の5つを確認してみましょう。
① 決算関係の資料
決算書や財務諸表、税務関係資料などを整理します。
② 工事関係の資料
工事経歴書や契約書、注文書・請書などを確認します。
③ 技術職員関係の資料
資格や実務経験、雇用関係などを確認します。
④ 社会性等の確認資料
自社が該当する評価項目について、証明できる資料を確認します。
⑤ 申請先の最新情報
大阪府、奈良県など、実際の申請先が公表している最新の手引き・チェックリストを確認します。
必要書類の準備は、経審の「申請前」から始まる
経審は、申請書を作成する段階だけで準備するものではありません。
例えば、
決算
↓
決算変更届の準備
↓
経営状況分析
↓
経審に必要な確認資料の整理
↓
経審申請
というように、決算後の手続きをまとめて考えることが重要です。
経審を受ける時期については、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、経審そのものがどのような制度なのかを知りたい方は、
「経営事項審査とは?初めて受ける建設業者向けにわかりやすく解説」
をご覧ください。
まとめ
経審の必要書類は、会社の状況や申請する項目、申請先などによって異なります。
まずは、
- 決算・財務関係の資料
- 工事関係の資料
- 技術職員関係の資料
- 社会性等に関する確認資料
- 税務関係の資料
などを整理しておきましょう。
そのうえで、自社がどの評価項目に該当するのかを確認し、必要な証明資料を準備することが重要です。
また、申請先によって必要書類や提出方法が異なる場合があるため、最終的には最新の申請先の案内を確認する必要があります。
「必要書類を集めてから経審を申請する」のではなく、決算後の手続き全体を見ながら、早めに資料を整理することをおすすめします。
経審の必要書類についてお悩みの建設業者の方へ
「自社の場合、何を準備すればよいのか分からない」
「技術職員や加点項目について、どの資料が必要なのか確認したい」
「決算変更届から経審までまとめて準備したい」
という場合は、会社の状況と申請先を確認したうえで、必要な資料を整理することが大切です。
経審の必要書類や準備について不明な点がある場合は、事前にご相談ください。
経営事項審査(経審)のサポートについてはこちら
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