経営事項審査(経審)について、次のようなお悩みはありませんか。
- 資格を持つ社員がいるが、経審でどのように評価されるのか分からない
- 技術職員の人数や資格を見直すことで、評点に影響があるのか知りたい
- 複数の建設業許可を持っているが、技術職員をどの業種で申請すればよいか分からない
- 次回の経審に向けて、今から確認しておくことを知りたい
経審では、技術職員の資格や人数などが、技術力の評価に関係します。
ただし、資格を持つ社員がいるだけで、必ず経審の評価対象になるわけではありません。 資格や実務経験、雇用関係、対象となる建設業種などを確認する必要があります。
また、技術職員の評価に用いる数値が、そのまま総合評定値(P点)に加算されるわけでもありません。
この記事では、経審における技術職員の基本的な考え方と評価の仕組み、確認しておきたいポイントを解説します。
経審の「技術職員」とは?
経審における技術職員とは、所定の資格や実務経験などの要件を満たし、技術力の評価対象となる職員です。
会社で技術者と呼ばれている人が、全員そのまま経審の技術職員として評価されるわけではありません。
主に、次のような事項を確認する必要があります。
- 保有資格や実務経験が、経審上の要件に該当するか
- その資格や実務経験が、どの建設業種の評価に対応するか
- 審査基準日時点で必要な要件を満たしているか
- 会社との雇用関係が所定の要件を満たしているか
そのため、資格者の一覧を作るだけでなく、誰を、どの建設業種の技術職員として申請できるかを整理することが大切です。
技術職員はZ点に関係する
経審の総合評定値(P点)は、5つの評価項目を組み合わせて算出されます。
| 評価項目 | 主な評価内容 | P点へのウェイト |
| X1 | 完成工事高 | 25% |
| X2 | 自己資本額・利益額 | 15% |
| Y | 経営状況 | 20% |
| Z | 技術力 | 25% |
| W | その他の審査項目(社会性等) | 15% |
P点の算式は、次のとおりです。
P点=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
このうち、Zは技術力を評価する項目です。主に、次の2つの要素が関係します。
- 許可業種別の技術職員数
- 許可業種別の年間平均元請完成工事高
Z点全体のP点へのウェイトは25%です。ただし、これは技術職員の評価だけでP点の25%が決まるという意味ではありません。
技術職員の評価と元請完成工事高の評価を組み合わせてZ点を算出し、さらにX1・X2・Y・Wの評価と合わせてP点に反映します。
そのため、技術職員が1人増えた場合に、P点が何点上がるかを一律に示すことはできません。
技術職員の評価区分と点数の考え方
経審では、技術職員をすべて同じ数値で評価するわけではありません。
技術職員数値を算出する際は、資格などの要件に応じて、基本的に次の区分が用いられます。
| 評価区分 | 技術職員数値の算定 |
| 1級技術者で、監理技術者資格者証を保有し、所定の監理技術者講習の要件を満たす者 | 1人につき6点 |
| その他の1級技術者 | 1人につき5点 |
| 監理技術者を補佐する資格を有する者 | 1人につき4点 |
| 基幹技能者・所定の要件を満たすレベル4技能者 | 1人につき3点 |
| 2級技術者・所定の要件を満たす技能士1級・レベル3技能者 | 1人につき2点 |
| その他の技術者 | 1人につき1点 |
※上記は技術職員数値の基本的な区分を示したものです。個々の資格や実務経験がどの区分に該当するかは、資格名だけで判断できるとは限りません。申請先の最新の手引きや有資格区分コード表で確認してください。
ここで示した点数が、そのままZ点やP点に加算されるわけではありません
上記の6点・5点・4点などは、技術職員数値を算出するための数値です。
この数値をもとに、所定の算定方法で技術職員数の評点を求めます。さらに、年間平均元請完成工事高の評点と組み合わせてZ点を算出し、P点に反映します。
「資格を取得すればP点がそのまま6点上がる」「技術職員が1人増えればP点が一定数上がる」という仕組みではありません。
資格者の人数だけで判断せず、現在の評価状況や対象業種なども含めて確認することが大切です。
1人の技術職員を評価できる業種には制限がある
複数の建設業許可を持つ会社では、1人の職員について複数の建設業種で技術職員として申請できる場合があります。
ただし、経審では、原則として1人の職員につき技術職員として申請できる建設業種は2業種までです。
複数の資格を持っている場合でも、すべての業種で無制限に評価されるわけではありません。
どの業種で申請するかを検討するときは、保有資格や実務経験、会社が取得している建設業許可、今後の受注方針などを踏まえて整理しましょう。
なお、経審における技術職員の評価と、建設現場に配置する技術者に関する要件は、目的や判断基準が異なります。混同しないように注意してください。
技術職員として評価されるには、雇用関係などの確認も必要
技術職員として申請できるかどうかは、資格の有無だけで決まるものではありません。
雇用関係についても、所定の要件を満たしている必要があります。
例えば、国土交通省の事務取扱いでは、原則として、審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があることなどが定められています。
ただし、継続雇用制度の適用を受ける職員など、個別の取扱いが設けられている場合もあります。
また、必要な確認資料は、職員の状況や申請先によって異なる場合があります。
具体的な要件については、申請先の最新の手引きや案内を確認してください。
技術職員の人数を増やせば、P点は上がる?
技術職員数値はZ点に関係しますが、人数を増やせば必ずP点が大きく上がるとは限りません。
確認したいのは、単純な人数だけではなく、次のような点です。
- 現在、どの職員が技術職員として評価されているか
- それぞれの職員が、どの建設業種で評価対象となるか
- どの評価区分に該当するか
- 元請完成工事高など、Z点のほかの評価要素がどうなっているか
また、資格取得や人員配置の見直しには、費用や時間がかかる場合があります。
経審の評点だけを目的にするのではなく、会社の受注方針や人員体制なども踏まえて検討することが大切です。
技術職員の確認は早めに進める
技術職員の評価は、経審の申請直前に確認すればよいとは限りません。
資格や実務経験、雇用関係などの要件を満たしているか、必要な確認資料を準備できるかなど、事前に整理しておきたい事項があります。
また、複数の業種で評価を受けたい場合は、資格や実務経験と申請対象業種の組み合わせも確認しておくとよいでしょう。
次回の経審に向けて、現在の技術職員の状況を早めに整理しておくことで、必要な対応を検討しやすくなります。
技術職員とW点は別の評価項目
技術職員の資格や人数は、主にZの技術力評価に関係します。
一方、Wは、その他の審査項目(社会性等)です。建設業の担い手の育成・確保に関する取組など、技術職員の評価とは異なる観点から審査される項目があります。
同じ社員や会社の取組が関係する場合でも、ZとWでは評価の目的や要件が異なります。
また、Wの評価項目や配点は制度改正によって変更される場合があります。過去の資料をそのまま使わず、申請時点の制度を確認しましょう。
まとめ
経審の技術職員は、会社の技術力を評価するうえで重要な項目です。
確認しておきたいポイントは、次のとおりです。
- 資格を持っているだけで、必ず技術職員として評価されるわけではない
- 資格や実務経験などによって評価区分が異なる
- 技術職員数値とZ点・P点は、それぞれ別の段階で算出される
- 1人の職員につき、技術職員として申請できる建設業種には原則2業種までの制限がある
- 雇用関係など、資格以外の要件も確認する必要がある
- 技術職員の評価だけでP点が決まるわけではない
大切なのは、資格者の人数だけを見るのではなく、誰が、どの業種で、どのように評価されるのかを整理することです。
具体的な申請に当たっては、申請先の最新の手引きや様式をご確認ください。申請内容や職員の状況によっては、その他の書類や確認資料が必要となる場合もあります。
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