経営事項審査(経審)では、「技術職員」が評価対象になります。
「技術職員とは誰のこと?」
「資格を持っている社員なら、すべて加点される?」
「技術者が何人いればP点が上がる?」
「1人の技術者を複数の業種で評価できる?」
このような疑問を持つ建設業者の方も多いのではないでしょうか。
経審では、技術職員の資格や人数などが「技術力(Z)」の評価に関係します。
ただし、単純に「資格を持つ人が多ければ、その分だけP点が上がる」という仕組みではありません。
この記事では、経審における技術職員の基本的な考え方と、Z点との関係、確認しておきたいポイントを解説します。
なお、個々の資格についての細かな評価や、実際に自社の技術職員として申請できるかどうかは、資格の種類、実務経験、雇用状況、申請する業種などによって確認が必要です。
- 経審の「技術職員」とは?
- 技術職員は「Z点」に関係する
- 技術職員は「資格」と「実務経験」などから確認する
- 技術職員の評価には区分がある
- 1人の技術職員を何業種でも評価できるわけではない
- 「資格を持っている人数」と「経審で評価される人数」は違う
- 雇用関係も確認される
- 技術職員の資格証明も準備する
- 技術職員の評価を考えるときは「人数」だけを見ない
- 技術職員を増やせば、必ずP点が大きく上がる?
- 「どの業種で技術職員を評価するか」も重要
- 技術職員の確認は、次回の経審直前では遅いことがある
- 技術職員について確認しておきたい5つのポイント
- 技術職員と「W点」は別の話
- まとめ
- 自社の技術職員について確認したい建設業者の方へ
- よく読まれる「経審ブログ」
- 経審について相談したい方へ
経審の「技術職員」とは?
経審における技術職員とは、簡単にいうと、建設業の技術力を評価するために、経審上の基準に基づいて評価対象となる職員です。
経審では、技術職員の資格や実務経験などをもとに、建設工事の種類ごとの技術職員数を評価します。
その評価は、経営事項審査の「技術力(Z)」に反映されます。
ここで注意したいのは、
会社で「技術者」と呼んでいる人が、そのまま全員、経審上の技術職員になるわけではない
ということです。
経審では、資格や実務経験などが審査基準に該当するかを確認したうえで、技術職員として申請します。
技術職員は「Z点」に関係する
経審のP点は、X1・X2・Y・Z・Wの評価をもとに算出されます。
そのうちZは「技術力」の評価です。
2026年7月1日以降の申請では、Zは、
- 技術職員数
- 元請完成工事高
によって評価されます。
Z全体のP点へのウェイトは25%です
つまり、技術職員の評価は、経審における技術力の評価に関係する重要な項目です。
ただし、
「技術職員が1人増えれば、P点がそのまま大きく上がる」
という単純な仕組みではありません。
技術職員の資格区分、人数、どの建設業種で評価するかなどによって、評価のされ方が変わります。
技術職員は「資格」と「実務経験」などから確認する
経審で技術職員として評価されるかどうかを確認するときは、単に資格証を見るだけでは足りない場合があります。
例えば、
- 保有している資格
- 実務経験
- その資格がどの建設業種に対応するか
- 審査基準日時点での資格の有効性
- 雇用関係
- 継続雇用制度などの適用状況
などを確認します。
実際の経審では、技術職員名簿に記載した職員について、資格を証明する書類や雇用関係を確認する資料などの提出・提示が必要となる場合があります。2026年7月1日以降の申請に関する国土交通省地方整備局の確認資料でも、資格証明書や雇用関係を確認する資料などが案内されています。
そのため、
「資格を持っているから、とりあえず技術職員に入れておこう」
という考え方ではなく、経審の基準に照らして申請できるかを確認することが重要です。
技術職員の評価には区分がある
経審では、技術職員を一律に1人として評価するわけではありません。
代表的な区分として、
- 1級監理技術者
- 1級技術者
- 監理技術者補佐
- 登録基幹技能者等
- 2級技術者
- その他の技術者
などがあります。
技術職員数の評価では、区分によって点数が異なります。
現行制度では、技術職員数値を算出する際、
- 1級監理技術者講習受講者:6点
- 1級技術者:5点
- 監理技術者補佐:4点
- 基幹技能者:3点
- 2級技術者:2点
- その他の技術者:1点
という区分で評価されます。
ただし、ここでいう「1級」「2級」は、単純に資格の名称だけで判断するものではありません。
経審上どの区分に該当するかは、資格の種類やその他の要件を確認する必要があります。
1人の技術職員を何業種でも評価できるわけではない
経審で特に注意したいのが、1人の技術職員を評価できる建設業種の数です。
経審では、1人の技術職員について、技術職員として申請できる業種は2業種までとされています。
例えば、1人の社員が複数の資格を持っていて、複数の建設業種について技術職員として評価できる場合でも、経審上は無制限に業種を重複して評価できるわけではありません。
そのため、
「資格をたくさん持っている社員がいるから、すべての業種で加点できる」
とは限りません。
どの2業種で評価するのかを考える必要があります。
「資格を持っている人数」と「経審で評価される人数」は違う
技術職員について考えるとき、もう一つ重要なのがこの点です。
例えば、会社に施工管理技士などの資格を持つ社員が10人いたとしても、
資格保有者10人=経審で10人分そのまま評価
とは限りません。
実際には、
- どの資格を持っているか
- どの建設業種で評価するか
- 経審上の技術職員に該当するか
- 審査基準日時点で必要な要件を満たしているか
- 雇用関係を確認できるか
などを確認する必要があります。
そのため、経審の準備では「資格者名簿」を作るだけでなく、資格と業種、雇用状況などを照合することが大切です。
雇用関係も確認される
技術職員を経審に計上する場合には、資格だけでなく、会社との雇用関係についても確認が必要になる場合があります。
例えば、2026年7月1日以降の申請に関する確認資料では、新規に技術職員名簿へ掲載する職員などについて、審査基準日から遡って6か月を超える雇用関係を確認する資料が案内されています。
ただし、具体的な確認方法や必要書類は、申請先や職員の状況によって異なる場合があります。
そのため、
「社員として働いているから問題ない」
とだけ考えるのではなく、申請先の最新の手引き・確認資料を確認することが重要です。
技術職員の資格証明も準備する
技術職員として申請する場合には、その資格を証明する資料も確認します。
例えば、
- 検定・試験の合格証
- 資格証
- 実務経験を証明する書類
- 基幹技能者講習修了証
- その他、資格・能力を証明する資料
などです。
資格によって必要な確認資料が異なるため、「資格証だけあればすべて大丈夫」とは限りません。
また、前回の経審で確認済みの資料については、申請先の取扱いによって再提出が不要となる場合もあります。
技術職員の評価を考えるときは「人数」だけを見ない
技術職員について、
「もっと人数を増やせばZ点が上がるのでは?」
と考える方もいると思います。
しかし、まず確認したいのは現在の技術職員の状況です。
例えば、
- どの資格を持つ職員がいるのか
- どの建設業種で評価できるのか
- 1人につきどの2業種を選ぶのか
- すでに技術職員として計上されているのか
- 次回の審査基準日に要件を満たすのか
などを確認します。
そのうえで、現在のZ点にどのような影響があるのかを考えることになります。
技術職員を増やせば、必ずP点が大きく上がる?
必ずしもそうとはいえません。
技術職員はZの評価に関係しますが、P点はZだけで決まるものではありません。
P点は、
0.25X1 + 0.15X2 + 0.20Y + 0.25Z + 0.15W
という算式で算出されます。
そのため、技術職員を増やすことだけを考えるのではなく、
- X1
- X2
- Y
- Z
- W
全体を見ながら考えることが重要です。
P点の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「どの業種で技術職員を評価するか」も重要
複数の建設業許可を持っている会社では、技術職員の資格だけでなく、どの業種について技術力を評価するのかも確認する必要があります。
例えば、
- 土木一式
- 建築一式
- 電気
- 管
- 舗装
など、複数の許可業種を持っている場合、それぞれの業種について技術職員の状況を確認します。
そして、1人の技術職員を申請できる業種は2業種までという制限があります。
そのため、複数業種で経審を受ける会社ほど、技術職員の資格と業種の組み合わせを事前に整理しておくことが重要です。
技術職員の確認は、次回の経審直前では遅いことがある
技術職員の評価は、経審を申請する直前に初めて確認すればよいとは限りません。
例えば、
「この資格を取ったから、次回の経審で評価してもらおう」
と思っても、審査基準日時点で必要な要件を満たしていない場合があります。
また、雇用関係や資格の有効性などについて、確認資料が必要となる場合もあります。
そのため、
次回の経審でどのような評価を受けたいのか
を考える場合は、早めに現在の技術職員の状況を整理しておくことが大切です。
技術職員について確認しておきたい5つのポイント
経審を受ける会社は、まず次の点を確認してみましょう。
① 誰が技術職員に該当するか
会社の資格者一覧を確認し、経審上の技術職員に該当するかを確認します。
② どの資格を持っているか
資格の種類だけでなく、経審上どの区分に該当するかを確認します。
③ どの業種で評価できるか
資格が複数の建設業種に対応する場合でも、1人につき2業種までという制限があります。
④ 雇用関係や資格を証明できるか
審査基準日時点の状況と、必要な確認資料を整理します。
⑤ 次回の経審でどうしたいか
現在のZ点だけでなく、希望する業種や公共工事も考えながら、今後の技術職員の配置・育成を検討します。
技術職員と「W点」は別の話
技術職員について調べていると、「若年技術職員」などW点に関係する情報も出てきます。
ここは少し注意が必要です。
技術職員そのものは、主としてZの技術力評価に関係します。
一方、技術職員の年齢などを要件とする評価は、Wの社会性等に関係する場合があります。
したがって、
「技術職員=全部Z点の話」
でもありません。
W点について詳しく知りたい方は、別の記事で整理します。
「経審のW点を詳しく解説|社会性等の評価項目と確認したいポイント」
まとめ
経審における技術職員は、会社の技術力を評価するうえで重要な存在です。
技術職員の資格や人数などは、経審の「技術力(Z)」の評価に関係します。
ただし、
- 資格を持っていれば必ず評価されるわけではない
- 資格の種類などによって評価区分が異なる
- 1人の技術職員について評価できる業種は2業種まで
- 雇用関係や資格を証明する資料が必要となる場合がある
- 技術職員の評価だけでP点が決まるわけではない
という点には注意が必要です。
「技術者が何人いるか」だけを見るのではなく、
誰が、どの資格を持ち、どの業種で、どのように評価されるのか
を整理することが大切です。
また、次回の経審での評価を考える場合は、申請直前ではなく、早めに現在の技術職員の状況を確認しておくことをおすすめします。
自社の技術職員について確認したい建設業者の方へ
「資格者はいるが、経審でどう評価されるのか分からない」
「複数の建設業種について、どのように技術職員を振り分ければよいのか分からない」
「次回の経審に向けて、現在の技術職員の状況を確認したい」
という場合は、資格だけでなく、雇用状況や申請する業種なども含めて確認することが重要です。
自社の技術職員やZ点について確認したい場合は、事前にご相談ください。
経営事項審査(経審)のサポートについてはこちら
よく読まれる「経審ブログ」
経審について相談したい方へ
「自社の場合、何を準備すればよいのか分からない」
「経審を受ける予定だが、どこから準備すればよいのか分からない」
といった場合は、現在の状況をお聞かせください。
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