経審のX1・X2・Y・Z・Wとは?5つの評価項目を解説

経審ブログ

経営事項審査(経審)の結果通知書を見ると、X1・X2・Y・Z・Wという評価項目が記載されています。

「それぞれ何を評価しているのか」「完成工事高や技術職員は、どの評価に関係するのか」「自社の経審結果をどのように確認すればよいのか」と疑問に思う建設業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

経審では、建設業者の経営規模、経営状況、技術力、社会性等を、それぞれ所定の基準で評価します。その評価結果をもとに算出されるのが、総合評定値(P点)です。

この記事では、X1・X2・Y・Z・Wの違いと、それぞれの評価内容、2026年7月1日施行の制度改正、経審の結果を確認する際のポイントについて解説します。

経審の5つの評価項目とは?

経営事項審査では、主に次の5つの項目について評価が行われます。

評価項目主な評価内容P点への割合
X1許可業種別の完成工事高25%
X2自己資本額・利益額15%
Y経営状況20%
Z技術職員数・元請完成工事高25%
Wその他の審査項目(社会性等)15%

2026年7月1日以降の申請に適用される制度でも、各項目のウェイトは上表のとおりです。

5つの評価項目の評点を所定の割合で合算したものが、総合評定値であるP点です。

P点は、次の算式で算出されます。

P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.20Y + 0.25Z + 0.15W

X1とZはそれぞれ25%、Yは20%、X2とWはそれぞれ15%の割合でP点に反映されます。

ただし、各項目の評点は、それぞれ定められた基準に基づいて算出されます。完成工事高や技術職員数などの数値を単純に合算すれば、P点が分かるわけではありません。

P点の意味や算出方法、結果通知書の見方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【関連記事:経審のP点とは?算出方法とX1・X2・Y・Z・Wの見方】

X1:完成工事高

X1は、許可業種別の完成工事高を評価する項目です。

建設業者がどの業種で、どの程度の工事実績を有しているかを、所定の方法で評点化します。

例えば、複数の建設業許可を持っている会社では、審査対象となる業種ごとに完成工事高を確認する必要があります。

会社全体の売上高が、そのままX1の評価に使われるわけではありません。建設業以外の売上高なども含まれる場合には、会社全体の売上高だけではX1の評価を判断できないためです。

また、X1の評価では、対象業種の完成工事高だけでなく、完成工事高の算定に用いる期間の選択なども関係します。完成工事高については、所定の要件に従い、2年平均または3年平均による算定方法を選択する仕組みがあります。

そのため、どの業種の工事実績を評価対象とするか、どの算定方法を選択するかなどを確認することが重要です。

具体的な算定方法や業種間の取扱いについては、申請時点の制度と申請先の最新の手引きを確認しましょう。

X2:自己資本額・利益額

X2は、会社の自己資本額と利益額を評価する項目です。

X1が主に完成工事高を評価するのに対し、X2では、会社の財務基盤や利益に関する側面が評価されます。

自己資本額

自己資本額は、会社の財務基盤に関係する数値です。

経審では、定められた方法により算定した自己資本額が評価対象となります。自己資本額については、基準となる決算期の数値を用いる方法のほか、所定の2期平均による方法もあります。

利益額

利益額については、営業利益と減価償却実施額をもとに、経審で定められた方法により算定した数値が評価対象となります。

利益額の算定では、所定の計算方法に加え、2期分の数値を用いる平均の取扱いにも注意が必要です。

自己資本額と利益額では、それぞれ算定方法が異なります。そのため、決算書の数字を単純に比較したり、単年度の利益だけを確認したりしても、X2の評点を正確に判断することはできません。

また、X2の評点は、自己資本額や利益額の数値をそのままP点に加算するものではありません。経審で定められた基準に基づいて、それぞれの評点が算出されます。

具体的な算定方法や確認資料については、申請時点の制度と申請先の最新の手引きを確認しましょう。

Y:経営状況

Yは、会社の経営状況を評価する項目です。

財務諸表などの情報をもとに、登録経営状況分析機関が経営状況分析を行い、その結果が経審に反映されます。

経営状況分析では、主に次の4つの観点から、複数の財務指標を用いて評価します。

  • 負債抵抗力: 借入金などの負債に対する支払能力に関する評価
  • 収益性・効率性: 利益を生み出す力や資産の活用状況に関する評価
  • 財務健全性: 財務内容の健全性に関する評価
  • 絶対的力量: 利益や資本など、会社の財務上の規模に関する評価

そのため、売上高や利益額だけでYの評点が決まるわけではありません。会社の財務内容を複数の指標から評価する仕組みになっています。

経審を受ける際には、決算変更届に必要な財務情報を適切に整理するとともに、経営状況分析に必要な書類を準備することが大切です。

なお、経営状況分析と経営規模等評価は、それぞれ異なる手続きです。申請の準備に当たっては、必要な手続きや書類を順番に確認しましょう。

Z:技術職員数・元請完成工事高

Zは、技術力を評価する項目です。

主な評価対象は、次の2つです。

  • 許可業種別の技術職員数
  • 許可業種別の元請完成工事高

技術職員数

技術職員については、保有資格などの所定の基準に基づいて評価されます。

ただし、技術職員の人数が多ければ、必ず評点が高くなるというものではありません。

保有資格や審査対象となる業種、経審上の評価対象となるための要件などによって評価が異なります。また、技術職員の評価には、対象業種や雇用関係などについて定められた要件も関係します。

そのため、技術職員について確認する際は、資格の有無だけでなく、経審上の評価対象となるかどうかも確認することが重要です。

元請完成工事高

元請完成工事高は、元請として完成させた工事の実績を評価する項目です。

完成工事高全体だけでなく、元請としての工事実績も評価に関係します。

そのため、Zを確認する際は、技術職員の状況とあわせて、対象業種の元請完成工事高も確認しましょう。

具体的な評価方法や必要書類については、申請時点の制度と申請先の最新の手引きをご確認ください。

W:その他の審査項目(社会性等)

Wは、建設業者の社会性等に関する事項を評価する項目です。

2026年7月1日以降の申請に適用される制度では、主に次の8つの区分で評価されます。

区分主な評価内容
W1建設工事の担い手の育成・確保に関する取組
W2建設業の営業継続の状況
W3防災活動への貢献
W4法令遵守の状況
W5建設業の経理の状況
W6研究開発の状況
W7建設機械の保有状況
W8規格による認証・登録の状況

Wは、加点につながる取組だけでなく、一定の場合に減点となる項目も含む評価です。そのため、加点項目の数だけでWの評点が決まるわけではありません。

また、それぞれの評価項目には所定の要件が定められています。取組を行っていたり、設備を保有していたりするだけで、必ず加点されるとは限りません。

2026年7月1日施行の主な制度改正

2026年7月1日以降の申請では、Wの評価項目などについて制度改正が適用されています。

主な変更点は、次のとおりです。

  • 建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度に関する評価項目の新設
  • 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置に関する配点の見直し
  • 建設機械の加点対象の拡大
  • 雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況に関する従来の評価項目の削除

建設機械については、従来の対象機械に加え、アスファルト・フィニッシャと不整地運搬車が加点対象に追加されました。

自主宣言制度に関する評価では、審査基準日が宣言日以降であることや、所定の宣言書・誓約書の提出など、定められた要件を満たす必要があります。宣言を行っている場合でも、要件を満たさなければ加点されるとは限りません。

また、建設機械についても、対象となる機械の種類や保有・使用状況、確認書類などが定められています。

なお、社会保険の加入状況に関する評価項目が削除されたことは、社会保険への加入義務そのものがなくなったことを意味するものではありません。

制度改正後の評価要件や必要書類については、国土交通省の改正資料と、申請先の最新の手引きを確認することが重要です。

参考:国土交通省「経営事項審査の主な改正事項(令和8年2月6日公布)」

X1・X2・Y・Z・Wを確認する際のポイント

自社の経審結果を確認する際は、P点だけでなく、X1・X2・Y・Z・Wの各評点もあわせて確認しましょう。

例えば、P点が前回より下がった場合でも、各項目の評点を確認することで、工事実績、財務内容、経営状況、技術力、社会性等のどこに変化があったのかを整理しやすくなります。

ただし、評点の変化には、会社の実績や財務内容の変化だけでなく、制度改正が影響する場合もあります。

前回の結果と比較する際は、次の点を確認するとよいでしょう。

  • X1:対象業種の完成工事高や算定方法に変化がないか
  • X2:自己資本額や利益額、算定方法に変化がないか
  • Y:経営状況分析の結果に変化がないか
  • Z:技術職員や元請完成工事高に変化がないか
  • W:評価対象となる取組や保有機械、制度改正の影響がないか

また、P点を改善したい場合でも、特定の項目だけを見直せばよいとは限りません。会社の状況や今後の受注方針などを踏まえ、どの項目を確認する必要があるのかを整理することが大切です。

まとめ

経審のX1・X2・Y・Z・Wは、それぞれ異なる側面から建設業者を評価する項目です。

  • X1: 許可業種別の完成工事高
  • X2: 自己資本額・利益額
  • Y: 経営状況
  • Z: 技術職員数・元請完成工事高
  • W: その他の審査項目(社会性等)

これら5つの評点を所定の割合で合算することで、総合評定値であるP点が算出されます。

2026年7月1日以降の申請では、Wの評価項目などについて制度改正が適用されています。自社の経審結果を確認する際は、P点だけでなく、各項目の評点と適用される制度もあわせて確認しましょう。

具体的な評価要件や必要書類については、国土交通省の改正資料や申請先の最新の手引きをご確認ください。

P点の算出方法や公共工事の入札参加資格との関係について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事:経審のP点とは?算出方法とX1・X2・Y・Z・Wの見方】

経審の評価項目について相談したい建設業者の方へ

「自社の経審結果をどのように見ればよいか分からない」「X1・X2・Y・Z・Wの評点を確認したい」「次回の経審に向けて、何から準備すればよいか分からない」

このような場合は、現在の経審結果や会社の状況を整理するところからご相談いただけます。

弊所では、経営事項審査をはじめ、建設業許可や決算変更届など、関連する手続きについてもご相談をお受けしています。

【経審ブログを見る →】

参照した公式資料

タイトルとURLをコピーしました