「宅建業免許を取得するには、専任の宅地建物取引士が何人必要?」
「宅地建物取引士証を持っていれば、専任の宅地建物取引士になれる?」
「代表者や役員に過去の処分歴などがある場合、免許に影響する?」
宅建業免許の新規申請では、事務所だけでなく、専任の宅地建物取引士を適切に配置できるか、また免許を受けようとする者や法令上確認の対象となる関係者に欠格事由がないかを確認する必要があります。
この記事では、宅建業免許の人的要件について、特に重要なポイントに絞って分かりやすく整理します。
専任の宅地建物取引士は事務所ごとに必要
宅建業者は、事務所ごとに、宅建業に従事する者の人数に応じて、一定数の専任の宅地建物取引士を置く必要があります。
原則として、
| 宅建業の事務所 | 必要な専任の宅地建物取引士 |
| 宅建業に従事する者5人まで | 1人以上 |
| 6~10人 | 2人以上 |
| 11~15人 | 3人以上 |
という考え方になります。
つまり、基本的には宅建業に従事する者5人につき1人以上の専任の宅地建物取引士が必要です。
「会社の従業員数」で単純に計算するわけではありません
ここは誤解されやすいところです。
専任の宅地建物取引士の必要人数は、単純に「会社全体の従業員数」を5で割って決めるものではありません。
確認するのは、それぞれの事務所において宅建業に従事する者の人数です。
宅建業以外の業務も行っている会社などでは、実際の業務内容や勤務状況を踏まえて判断する必要があります。
そのため、
「会社に従業員が10人いるから、宅建士が2人必要」
と単純に判断するのではなく、事務所ごとの宅建業への従事状況を確認することが重要です。
宅地建物取引士証を持っているだけでは足りません
宅地建物取引士証を持っていることと、専任の宅地建物取引士として配置できることは同じではありません。
専任の宅地建物取引士には、常勤性・専従性が求められます。
そのため、例えば他の会社で通常勤務している人が、宅地建物取引士証を持っているというだけで、その会社の専任の宅地建物取引士になれるわけではありません。
大阪府も、専任の宅地建物取引士について常勤性・専従性を確認する取扱いを示しています。従事状況によっては、基本的な提出書類に加えて、別途申立書等が必要となる場合があります。
他の仕事との兼務は個別に確認
専任の宅地建物取引士について、
「他の仕事をしていたら絶対にダメ」
「この仕事なら必ず兼務できる」
というように、すべてを一律に判断するのは適切ではありません。
勤務先、業務内容、勤務場所、勤務時間などの具体的な状況によって確認が必要になる場合があります。
他の業務との兼務がある場合は、申請前に実際の勤務状況を整理しておくことをおすすめします。
宅地建物取引士証の有効期間も確認
専任の宅地建物取引士を決めるときは、宅地建物取引士証についても確認しておきましょう。
| 確認すること | ポイント |
| 宅地建物取引士としての登録 | 登録状況を確認 |
| 宅地建物取引士証 | 交付を受けているか確認 |
| 有効期間 | 有効な宅地建物取引士証か確認 |
| 勤務状況 | 常勤・専従などの要件を確認 |
| 配置する事務所 | どの事務所の専任の宅地建物取引士になるか確認 |
大阪府では、専任の宅地建物取引士について、基本的な提出書類として宅地建物取引士証の写しを求めています。
そのため、申請前には「宅建士の資格を持っているか」だけでなく、宅地建物取引士証の有効期間と実際の勤務状況まで確認しておくことが大切です。
専任の宅地建物取引士は「事務所ごと」に考える
専任の宅地建物取引士の必要人数は、会社全体でまとめて考えるものではありません。
事務所ごとに確認します。
例えば、本店と支店の2つの事務所がある場合、
| 事務所 | 確認すること |
| 本店 | 本店の宅建業従事者数に応じた人数 |
| 支店 | 支店の宅建業従事者数に応じた人数 |
という形で、それぞれについて確認します。
したがって、
「会社全体で宅建士が2人いるから大丈夫」
とは限りません。
それぞれの事務所について、必要な専任の宅地建物取引士を確保できているかを確認する必要があります。
大阪府の申請では、専任性を確認する書類があります
大阪府で宅建業免許を申請する場合、専任の宅地建物取引士について、基本的な確認書類があります。
大阪府の案内では、基本的な提出書類として、
- 「宅地建物取引業法第31条の3第1項に規定する専任の宅地建物取引士の設置等に係る誓約書」
- 「専任の宅地建物取引士の宅地建物取引士証の写し」
が案内されています。
また、専任の宅地建物取引士の従事状況によっては、別途、申立書等の提出を求められる場合があります。
したがって、
「専任性を確認する資料は、すべてのケースで同じものを用意する」
という理解ではなく、
基本的な書類+必要に応じた追加書類
と考えておくと分かりやすいでしょう。
なお、大阪府では2024年5月25日以降、専任の宅地建物取引士について「身分証明書」「登記されていないことの証明書」は不要とされています。
専任の宅地建物取引士以外の人的事項も確認します
宅建業免許の申請では、専任の宅地建物取引士だけを確認すればよいわけではありません。
法人・個人の別や事務所の体制などに応じて、代表者、役員、政令で定める使用人などについて、免許申請上の確認が必要になります。
特に欠格事由については、宅建業免許を受けようとする者だけでなく、法令上確認対象となる関係者についても確認が必要です。
ここでいう「申請者」は、行政書士などの申請手続をする人を意味するものではありません。
宅建業免許を受けようとする個人または法人を指すものとして考えると分かりやすいでしょう。
欠格事由は「専任の宅地建物取引士の人数」とは別の問題です
宅建業免許には、宅地建物取引業法上の欠格事由があります。
欠格事由に該当すると、宅建業免許を受けることができません。
ここで重要なのは、
「専任の宅地建物取引士を確保できているか」
と、
「免許を受けようとする者や法令上確認対象となる関係者に欠格事由がないか」
は、別の確認事項だということです。
大阪府の現行手引では、免許を受けられない者について、申請者、一定の場合の法定代理人、役員、政令で定める使用人などを対象として欠格要件を確認する取扱いが示されています。
欠格事由で確認が必要になることがある事情
例えば、
- 過去の行政処分
- 一定の刑事上の事情
- 破産等に関する事情
- その他、宅建業法で定められた欠格事由
などがあります。
ただし、
「過去に破産したことがあるから、宅建業免許は取れない」
「以前に罰金を受けたから、必ず免許が取れない」
というように、過去の事情だけで一律に判断することはできません。
誰についての事情なのか、いつ、どのような事情があったのか、現在どうなっているのかなどによって判断が変わる場合があります。
そのため、気になる事情がある場合は、申請書を作成してからではなく、申請前に確認しておくことをおすすめします。
「誰について確認するのか」を間違えないことが重要です
人的要件については、次のように整理すると分かりやすくなります。
| 確認事項 | 主な確認対象 |
| 専任の宅地建物取引士 | 各事務所に配置する人 |
| 専任性・勤務状況 | 専任の宅地建物取引士 |
| 宅地建物取引士証 | 専任の宅地建物取引士 |
| 欠格事由 | 免許を受けようとする者・法令上確認対象となる関係者 |
| 法人の人的事項 | 代表者、役員、政令で定める使用人等、該当する者 |
特に注意したいのは、「専任の宅地建物取引士だから、すべての人的書類が必要になる」というわけではないことです。
反対に、専任の宅地建物取引士が役員などを兼ねている場合には、専任の宅地建物取引士としての確認とは別に、その立場に応じた確認が必要になることがあります。
このように、同じ人について複数の立場から確認が必要になる場合があります。
申請前に確認しておきたいポイント
宅建業免許の申請前には、次の点を確認しておくとスムーズです。
専任の宅地建物取引士
- 事務所ごとに必要な人数を確保できている
- 宅地建物取引士証の交付を受けている
- 宅地建物取引士証の有効期間を確認している
- どの事務所の専任の宅地建物取引士になるか決まっている
- 常勤・専従など、専任性について確認している
- 他の仕事や事業との関係に問題がないか確認している
その他の人的事項
- 代表者や役員など、申請に関係する人を整理している
- 政令で定める使用人を置く場合は、その対象者を確認している
- 欠格事由について気になる事情がないか確認している
- 過去の処分・刑事上の事情・破産等について心当たりがあれば、申請前に確認している
よくある質問
Q.宅地建物取引士証を持っていれば、専任の宅地建物取引士になれますか?
いいえ。
宅地建物取引士証を持っていることだけでなく、専任の宅地建物取引士としての常勤性・専従性などの勤務状況についても確認が必要です。
Q.専任の宅地建物取引士は何人必要ですか?
原則として、事務所ごとに、宅建業に従事する者5人につき1人以上です。
ただし、必要人数を判断するときは、単純な会社全体の従業員数ではなく、事務所ごとの宅建業への従事状況を確認します。
Q.会社全体で宅地建物取引士が2人いれば大丈夫ですか?
会社全体の人数だけでは判断できません。
専任の宅地建物取引士は事務所ごとに配置する必要があるため、それぞれの事務所について必要人数を確認します。
Q.宅地建物取引士証の有効期間も確認する必要がありますか?
はい。
専任の宅地建物取引士については、有効な宅地建物取引士証を持っているか確認しておくことが重要です。大阪府も専任の宅地建物取引士の宅地建物取引士証の写しを基本的な提出書類として案内しています。
Q.他の会社で働いている宅地建物取引士を専任の宅地建物取引士にできますか?
勤務状況によって判断する必要があります。
専任の宅地建物取引士には常勤性・専従性が求められるため、他社で通常勤務している人を、そのまま専任の宅地建物取引士として配置できるとは限りません。
Q.専任の宅地建物取引士を確保できれば、人的要件はすべて大丈夫ですか?
いいえ。
専任の宅地建物取引士の配置とは別に、代表者、役員、政令で定める使用人などについて、申請内容に応じた確認が必要です。
また、宅建業法上の欠格事由についても確認します。
Q.過去に行政処分や刑事上の事情がある場合、宅建業免許は取れませんか?
一概にはいえません。
その事情の内容、時期、対象となった人、現在の状況などによって判断が異なる場合があります。
心当たりがある場合は、申請前に具体的な事情を確認しておくことをおすすめします。
人的要件は、申請前に確認しておきましょう
宅建業免許の人的要件は、
「宅建士がいるかどうか」だけの問題ではありません。
まずは、
- 事務所ごとに必要な専任の宅地建物取引士を確保できるか
- その人が専任の宅地建物取引士として勤務できる状況か
- 宅地建物取引士証が有効か
- 代表者・役員・政令で定める使用人などについて確認すべき事項がないか
- 欠格事由に関係する事情がないか
という順番で整理すると分かりやすいでしょう。
特に、過去の処分や刑事上の事情、破産等について気になることがある場合は、申請書を作成する前に確認しておくことをおすすめします。
宅建業免許の人的要件についてご相談ください
「専任の宅地建物取引士を誰にすればよいのか分からない」
「必要な人数をどう数えればよいのか分からない」
「現在の勤務状況で専任の宅地建物取引士になれるのか確認したい」
「代表者や役員について確認しておきたい」
「過去の処分などがあり、欠格事由が気になる」
このような段階からでもご相談いただけます。
宅建業免許は、申請書を作成してから問題を探すより、申請前に人的要件を整理しておくことが重要です。
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ご注意
宅建業免許に関する要件や申請時の取扱いは、法令改正や行政庁の案内等により変更される場合があります。
実際に申請する際は、その時点の最新の法令および申請先の行政庁の案内をご確認ください。
参考資料
- 宅地建物取引業法
- 宅地建物取引業法施行規則
- 国土交通省「宅地建物取引の免許について」
- 大阪府「宅地建物取引業免許の申請等」
- 大阪府「宅地建物取引業免許申請の手引」
- 大阪府「専任の宅地建物取引士の常勤・専任の確認方法」
大阪府では、専任の宅地建物取引士について常勤性・専従性を確認するための書類や、従事状況に応じた追加書類について案内しています。
また、欠格要件については、宅建業法に基づき、免許を受けようとする者や法令上確認対象となる関係者について確認する必要があります。
※本記事は、宅地建物取引業法、関係法令および行政庁の公表資料等を参考に作成しています。実際の申請にあたっては、その時点の最新の法令および申請先の行政庁の案内をご確認ください。

