「宅建業を始めたいけれど、免許申請には何を準備すればよいの?」
宅建業免許の新規申請では、申請書だけでなく、申請者、役員等、専任の宅地建物取引士、事務所などについて、さまざまな書類や確認が必要になります。
ただし、必要書類は、法人か個人か、役員等の構成、事務所の状況、申請先などによって異なる場合があります。
そのため、書類を集め始める前に、
- 誰が免許を取得するのか
- 誰を専任の宅地建物取引士にするのか
- どこを事務所にするのか
- どこに申請するのか
を整理しておくことが大切です。
この記事では、宅建業免許の新規申請で確認しておきたい主な書類と、申請前の注意点を分かりやすく整理します。
宅建業免許の新規申請で確認する主な書類
宅建業免許の新規申請では、一般に次のような書類を確認します。
| 区分 | 主な書類・確認事項 |
| 申請関係 | 免許申請書、宅地建物取引業経歴書など |
| 法人・個人関係 | 法人の登記事項、住民票等、財務関係書類など |
| 代表者・役員等 | 身分証明書、登記されていないことの証明書、略歴書等 |
| 専任の宅地建物取引士 | 宅地建物取引士証の写し等 |
| 事務所 | 地図、写真、間取図、使用権原を確認する書類等 |
| 財務・納税関係 | 決算書類、納税証明書等 |
これはあくまで主なものです。
実際に必要となる書類は、申請先、法人・個人の別、役員等の状況、事務所の状況などによって異なる場合があります。
そのため、最終的には、実際に申請する都道府県等の最新の手引・案内を確認する必要があります。
まず「法人」か「個人」かを確認する
宅建業免許の申請では、最初に申請者を確認します。
| 申請者 | 主に確認すること |
| 法人 | 法人の登記事項、役員等、財務・納税関係、事務所など |
| 個人 | 申請者本人、財務・納税関係、事務所など |
法人で申請する場合には、履歴事項全部証明書、財務関係書類、納税証明書、役員等に関する書類などを確認します。
個人で申請する場合は、法人とは異なる書類が必要になります。
また、設立したばかりの法人など、通常とは異なる状況では、財務関係書類などの取扱いが異なる場合があります。
「設立したばかりだから申請できない」と一律に考えるのではなく、会社の設立時期や申請先の取扱いを確認することが大切です。
代表者・役員等について確認する書類
法人で宅建業免許を申請する場合、法人そのものだけでなく、代表者や役員等についても確認が必要になります。
代表的なものとして、
- 身分証明書
- 登記されていないことの証明書
- 略歴書
- 誓約書等
があります。
ただし、ここでいう「誓約書等」は、申請者や対象者について必要となる所定の書類を指しており、誰にどの書類が必要になるかは、申請先の手引や申請者の状況によって確認する必要があります。
また、政令で定める使用人を置く場合には、その方についても必要な確認があります。
「身分証明書」は運転免許証などではありません
宅建業免許申請でいう「身分証明書」は、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類ではありません。
本籍地の市区町村が発行する証明書で、一定の事項について証明するものです。
大阪府の案内では、成年被後見人等に関する事項に加え、破産者でないことについても証明するものとされています。
大阪府公式ウェブサイト
そのため、
「身分証明書=本人確認書類」
と考えないよう注意しましょう。
なお、外国籍の方については、身分証明書の取扱いが異なる場合があります。
「登記されていないことの証明書」とは?
「登記されていないことの証明書」は、成年後見制度に関する登記について確認するための証明書です。
宅建業免許申請では、対象となる代表者・役員等や政令で定める使用人等について確認することがあります。
ただし、専任の宅地建物取引士については、令和6年(2024年)5月25日以降、宅建業免許申請における「身分証明書」「登記されていないことの証明書」の添付が不要となっています。
ここで注意したいのは、専任の宅地建物取引士であることだけを見て判断するのではなく、その方が代表者・役員等や政令で定める使用人等を兼ねている場合には、その立場について必要な書類を確認する必要があるということです。
つまり、
専任の宅地建物取引士なら、身分証明書等が必ず不要
という意味ではありません。
あくまで「専任の宅地建物取引士」という立場について、添付が不要になったという整理です。
専任の宅地建物取引士について確認する書類
宅建業免許を取得する場合、事務所ごとに必要な人数の専任の宅地建物取引士を置く必要があります。
申請では、例えば、
- 宅地建物取引士証の写し
- 専任の宅地建物取引士の設置等に関する所定の書類
- その他、申請先から求められる書類
などを確認します。
ここで重要なのは、
「宅地建物取引士の資格を持っていること」と「専任の宅地建物取引士として配置できること」は同じではない
という点です。
専任の宅地建物取引士については、勤務状況などから常勤性・専任性を確認する必要があります。
また、申請先や具体的な勤務状況によっては、追加の申立書等が必要となる場合があります。
例えば大阪府では、専任の宅地建物取引士について、基本的な提出書類のほか、従事状況に応じて別途申立書等の提出を求める取扱いが示されています。
大阪府公式ウェブサイト
そのため、この記事では個別のケースごとの書類を細かく列挙するのではなく、
宅地建物取引士証の写し等を確認し、必要に応じて申請先の案内に従って追加書類を準備する
という整理にしています。
なお、専任の宅地建物取引士の人数や勤務要件については、別の記事で詳しく解説しています。
事務所について確認する書類
宅建業免許の申請では、事務所についても確認が必要です。
代表的なものとして、
- 事務所付近の地図
- 事務所の写真
- 事務所の間取図・レイアウト
- 事務所を使用する権原を確認する書類
- その他、事務所の状況を確認する資料
などがあります。
事務所については、単に住所があるだけではなく、実際に宅建業の事務所として使用できる状態かどうかを確認することが重要です。
特に、
- 自宅の一部を事務所にする
- マンションを事務所にする
- 賃貸物件を事務所にする
- 他の会社と同じ建物・スペースを使用する
といった場合には、契約内容や使用状況などについて確認が必要となる場合があります。
事務所については、別ページで詳しく解説しています。
→「宅建業免許の事務所要件|自宅・マンション・レンタルオフィスは?」
財務・納税関係の書類
宅建業免許の申請では、財務状況や納税についての書類も確認します。
法人の場合には、例えば、
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 納税証明書
- その他、申請先が求める財務関係書類
などがあります。
個人の場合は、法人とは異なる書類が必要となります。
また、設立したばかりの法人など、まだ決算期を迎えていない場合には、通常の法人とは異なる取扱いとなることがあります。
そのため、
「決算書がないから申請できない」
と自己判断するのではなく、会社の設立時期や申請先の取扱いを確認することが大切です。
公的な証明書は「取得する時期」に注意
宅建業免許申請で使用する証明書には、発行時期について注意が必要です。
例えば大阪府では、身分証明書や登記されていないことの証明書について、申請等の日より前3か月以内に発行されたものを提出するよう案内しています。また、履歴事項全部証明書についても3か月以内のものとする案内があります。
大阪府公式ウェブサイト
したがって、
「必要書類が分かったら、とりあえず証明書を全部取っておく」
という準備方法はおすすめできません。
申請内容を整理し、必要書類を確認したうえで、できるだけ申請時期に合わせて取得する方が安心です。
なお、3か月以内という取扱いを含め、証明書の有効期間・発行時期については申請先によって確認が必要です。
必要書類は「申請先の最新案内」を確認する
宅建業免許の基本的な制度は宅地建物取引業法等に基づいています。
一方で、
- 提出書類
- 様式
- 提出方法
- 受付方法
- 写真等の提出方法
- 追加資料の取扱い
などについては、申請先によって異なる場合があります。
そのため、インターネット上の古い情報や、以前の申請経験だけで準備するのではなく、実際に申請する都道府県等の最新の手引・案内を確認することが重要です。
特に、宅建業免許の申請書類は制度変更によって取扱いが変わることがあります。
例えば、専任の宅地建物取引士について「身分証明書」「登記されていないことの証明書」の添付が不要となったのも、その一例です。
必要書類は「一覧」だけで判断しない
宅建業免許の申請では、単に書類名だけを確認するのではなく、
「自分の申請では、誰について、どの書類が必要なのか」
を確認することが大切です。
例えば、身分証明書や登記されていないことの証明書についても、対象者によって取扱いが異なります。
また、専任の宅地建物取引士についても、単に宅地建物取引士証を持っているかだけではなく、専任の要件を満たしているかを確認する必要があります。
そのため、申請準備では次のように整理すると分かりやすくなります。
| 確認すること | 主な確認内容 |
| 申請者 | 法人か個人か |
| 代表者・役員等 | 誰が対象となるか |
| 政令で定める使用人 | 設置するか、誰が該当するか |
| 専任の宅地建物取引士 | 誰を配置するか、専任の要件を満たすか |
| 事務所 | どこを事務所とするか、使用できるか |
| 財務・納税関係 | 決算・納税関係の書類を確認できるか |
| 申請先 | どこに申請するか |
「必要書類を全部集めてから考える」のではなく、先に申請内容を整理し、その内容に応じて必要書類を確認することが、結果的に効率的です。
証明書類を集める前に、申請内容を整理しましょう
宅建業免許の新規申請では、次のような事項を先に整理しておくと、必要書類を確認しやすくなります。
- 法人・個人のどちらで申請するか
- どこを事務所にするか
- 誰を専任の宅地建物取引士にするか
- 役員等は誰か
- 政令で定める使用人を置くか
- どこに申請するか
特に、事務所や専任の宅地建物取引士については、書類を集めた後で問題が見つかると、準備をやり直すことになる場合があります。
そのため、書類収集より先に申請内容を確認しておくことをおすすめします。
まとめ|宅建業免許の必要書類は「自分の場合」で確認する
宅建業免許の新規申請では、申請書だけでなく、申請者、代表者・役員等、専任の宅地建物取引士、事務所、財務・納税関係などについて、さまざまな書類を確認します。
特に注意したいのは、
- 法人と個人では必要書類が異なる
- 代表者・役員等について確認が必要な書類がある
- 「身分証明書」は本人確認書類ではなく、本籍地の市区町村が発行する証明書
- 身分証明書には破産に関する証明事項も含まれる
- 専任の宅地建物取引士については、身分証明書・登記されていないことの証明書の添付が不要となっている
- ただし、代表者・役員等など別の立場を兼ねる場合は、その立場について必要な書類を確認する
- 専任の宅地建物取引士について、申請先や勤務状況によって追加書類が必要となる場合がある
- 証明書類には発行時期についてのルールがある
- 最終的には申請先の最新の手引・案内を確認する
という点です。
必要書類をすべて集めてから相談する必要はありません。
「自分の場合、何を準備すればよいのか分からない」という段階から、申請内容を整理していくことができます。
宅建業免許の申請準備についてご相談ください
弊所では、宅建業免許の新規申請について、現在の状況を確認したうえで、必要となる手続や書類を整理してご案内しています。
例えば、
- これから会社を設立して宅建業を始めたい
- 必要書類が分からない
- 専任の宅地建物取引士について確認したい
- 事務所について確認したい
- どこから準備すればよいか分からない
といった段階からでもご相談いただけます。
書類をすべて集めてからご相談いただく必要はありません。
まずは現在の状況をお聞かせください。
→「ご依頼の流れ」
宅建業免許についてはこちら
宅建業免許の制度や、新規・更新の手続については、こちらをご覧ください。
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根拠・参考資料
- 宅地建物取引業法
- 宅地建物取引業法施行規則
- 国土交通省「宅地建物取引業法関係」
- 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」
- 各地方整備局等が公表する宅地建物取引業免許申請関係資料
- 各都道府県等が公表する宅地建物取引業免許申請の手引・関係資料
- 大阪府「宅地建物取引業免許申請の手引」
※宅建業免許の申請書類、提出方法、受付方法その他の取扱いは、申請先、申請者の状況、申請時期等によって異なる場合があります。実際に申請する際は、申請先の最新の案内をご確認ください。
