一般建設業と特定建設業の違い|どちらの許可が必要?【2026年最新版】

建設ブログ

建設業許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2つの区分があります。
この2つの違いについて、
「大きな工事を受注するなら特定建設業」
「1億円の工事なら特定建設業」
と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、これは正確ではありません。
一般建設業と特定建設業を分ける重要なポイントは、発注者から直接請け負った工事について、一定額以上の下請契約を締結して施工するかどうかです。
現在の基準では、発注者から直接請け負った1件の建設工事について、一定額以上の下請契約を締結して施工する場合、特定建設業の許可が必要となります。
2025年(令和7年)2月1日から、この金額基準が引き上げられています。

区分特定建設業が必要となる下請契約の金額
建築工事業8,000万円以上
建築工事業以外5,000万円以上

改正前は、建築工事業が7,000万円、その他の工事が4,500万円でした。
現在は、建築工事業8,000万円、その他5,000万円が基準です。

まず、ここだけ確認してください

一般建設業と特定建設業のどちらが必要なのかを判断するときは、まず次の点を確認してください。

  • 発注者から直接工事を請け負うのか
  • 自社は元請なのか、下請なのか
  • どの建設業の業種について許可を受けるのか
  • その工事について、下請契約をいくら締結する予定なのか
  • 複数の下請契約がある場合、その合計額はいくらなのか

特に重要なのが、元請工事の請負金額そのものではなく、下請契約の金額を見るという点です。
国土交通省も、発注者から直接請け負う工事について、5,000万円(建築工事業の場合は8,000万円)以上となる下請契約を締結する場合には特定建設業の許可が必要であり、それ以外の場合は一般建設業の許可で差し支えないと説明しています。

大きな工事を受注するだけで「特定建設業」になるわけではありません

ここは、一般建設業と特定建設業を理解するうえで、特に重要なポイントです。
例えば、
「1億円の工事を元請として受注したから、特定建設業が必要」
とは限りません。
発注者から直接請け負う工事の請負金額については、一般建設業・特定建設業のどちらであっても、この金額だけを理由とする一律の上限はありません
例えば、元請として1億円の工事を受注したとしても、その工事について締結する下請契約の総額が5,000万円未満であれば、特定建設業の許可が必要となるとは限りません。
一方、元請として受注した1件の工事について、下請契約の総額が5,000万円以上となる場合には、建築工事業以外の業種であれば、特定建設業の許可が必要となります。
建築工事業の場合は、その基準が8,000万円以上となります。
したがって、判断するときは、
「元請工事はいくらか」ではなく、「その工事について下請にいくら発注するのか」
を見ることが重要です。

特定建設業が必要になる金額はいくら?

現在の基準は、次のとおりです。

許可業種特定建設業が必要となる下請契約の基準額
建築工事業8,000万円以上
その他28業種5,000万円以上

この金額基準は、2025年(令和7年)2月1日から引き上げられました。
改正前は、建築工事業が7,000万円、それ以外が4,500万円でしたが、現在はそれぞれ8,000万円、5,000万円となっています。
なお、ここでいう「建築工事業」は、単に建物に関する工事という意味ではなく、建設業許可における業種としての「建築工事業」を指します。

下請契約が複数ある場合は「合計額」で判断します

実務上、非常に重要なのがこの点です。
特定建設業が必要かどうかを判断するとき、下請業者1社ごとの契約金額だけを見るわけではありません。
同じ1件の元請工事について、複数の下請契約を締結する場合には、その下請代金の総額で判断します。
例えば、建築工事業以外の工事で、

  • A社への下請契約 2,000万円
  • B社への下請契約 1,500万円
  • C社への下請契約 2,000万円

という契約を締結する場合、下請契約の総額は5,500万円となります。
この場合、元請として発注者から直接請け負った1件の工事について、下請契約の総額が5,000万円以上となるため、特定建設業の許可が必要となります。
「1社あたり5,000万円以上でなければ大丈夫」という判断はできません。

下請契約の金額は、消費税を含めて判断します

特定建設業の判定に用いる下請契約の金額は、消費税及び地方消費税相当額を含む金額です。
したがって、下請契約の金額を確認するときは、税抜金額だけで判断しないよう注意が必要です。
特に基準額の近辺で契約する場合には、契約書上の金額を確認しておくことが重要です。

元請が提供する材料等の価格はどうなる?

特定建設業の許可が必要となるかを判断する際の下請代金額については、元請負人が提供する材料等の価格は含まれません
そのため、
「下請契約書に記載された金額」
だけでなく、
「どの費用が下請契約の代金に含まれているのか」
を確認することが重要です。
金額が基準額に近い工事では、材料の支給関係も含めて確認した方が安全です。

一般建設業と特定建設業の違い

一般建設業と特定建設業の違いを簡単に整理すると、次のようになります。

項目一般建設業特定建設業
主な判断基準特定建設業が必要となる下請契約を締結しない場合元請として一定額以上の下請契約を締結する場合
元請工事の請負金額一律の上限なし一律の上限なし
下請契約の基準特定建設業の基準未満建築工事業8,000万円以上、その他5,000万円以上
複数の下請契約総額を確認総額を確認
財産的基礎特定建設業より緩やか一般建設業より厳しい
主な対象特定建設業の対象とならない元請・下請工事一定額以上を下請発注する元請工事

なお、建設業許可は建設業の業種ごとに取得する制度です。
そのため、同じ会社であっても、ある業種について一般建設業許可、別の業種について特定建設業許可を取得することがあります。
「会社全体が一般」「会社全体が特定」と単純に考えないことが大切です。

「元請」と「下請」で考え方が変わります

特定建設業の許可が問題となるのは、基本的に、
発注者 → 自社 → 下請業者
という元請の立場で工事を受注する場合です。
例えば、自社が発注者から直接1億円の工事を請け負い、その工事について下請業者に6,000万円を発注するとします。
建築工事業以外の業種であれば、下請契約の総額が5,000万円以上となるため、特定建設業の許可が必要となります。
一方、
発注者 → 元請業者 → 自社
という形で、自社が下請として工事を受注する場合には、自社が受け取る請負金額が5,000万円以上であることだけを理由として、特定建設業の許可が必要になるわけではありません。
国土交通省も、特定建設業の下請代金額の制限は、発注者から直接建設工事を請け負う元請負人に対するものだと説明しています。

一般建設業許可なら、大きな元請工事は受けられない?

これもよくある誤解です。
一般建設業許可だからといって、
「元請工事は○万円まで」
という一律の請負金額上限があるわけではありません。
例えば、一般建設業許可を受けている会社が1億円の工事を元請として受注したとしても、その工事について締結する下請契約の総額が特定建設業の基準額未満であれば、一般建設業許可で対応できる場合があります。
逆に、元請工事の請負金額が5,500万円であっても、その工事について5,000万円以上の下請契約を締結するのであれば、建築工事業以外の場合には特定建設業の許可が必要となります。
つまり、
元請工事の金額と下請契約の金額は、別々に考える必要があります。

下請として大きな工事を受注する場合は?

自社が下請業者として工事を受注する場合、元請業者から受ける請負金額が大きいことだけを理由として、特定建設業の許可が必要になるわけではありません。
例えば、
発注者

A社(元請)
↓ 1億円
B社(自社・下請)
という契約関係であれば、B社が1億円の工事を請け負うことだけを理由として、特定建設業許可が必要になるわけではありません。
ただし、B社がさらに他の建設業者へ工事を発注する場合には、その契約関係やB社自身が元請となっている工事の有無などを確認する必要があります。
「自社が下請だから必ず一般建設業でよい」と機械的に判断するのではなく、実際の契約関係を確認することが重要です。

特定建設業では財産的基礎の要件も厳しくなります

特定建設業は、一般建設業よりも財産的基礎の要件が厳しく設定されています。
国土交通省によれば、特定建設業については、原則として次のすべてを満たす必要があります。

  • 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金の額が2,000万円以上であること
  • 自己資本の額が4,000万円以上であること

このうち、最後の項目は「資本金2,000万円以上」かつ「自己資本4,000万円以上」の両方が必要です。
そのため、
「今後、大きな工事を受注するから特定建設業を取得しよう」
と考える場合には、下請契約の金額だけでなく、会社の財務内容についても事前に確認する必要があります。

一般建設業の財産的基礎も確認しましょう

一般建設業についても、財産的基礎または金銭的信用に関する要件があります。
国土交通省は、一般建設業について、次のいずれかに該当することを要件として示しています。

  • 自己資本が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金を調達する能力を有すること
  • 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること

特定建設業ではこれより厳しい基準が設定されています。

特定建設業になると、許可要件以外にも注意が必要です

特定建設業を取得する場合、単に許可区分が変わるだけではありません。
一定の下請負人を使用して工事を施工する場合には、監理技術者の配置など、一般建設業とは異なる施工体制上の対応が必要となる場合があります。
また、特定建設業者には、下請負人の保護に関する建設業法上の義務などもあります。

そのため、特定建設業の取得を検討するときは、
「許可を取れるか」
だけでなく、
「取得後に必要となる施工体制や下請管理まで対応できるか」
という点も確認しておくことが重要です。

どちらの許可を取得すればよい?

どちらの許可が必要なのかは、現在の受注状況だけでなく、今後予定している工事も含めて判断することをおすすめします。
例えば、次のような会社であれば、まず一般建設業許可を前提として検討することが考えられます。
主に下請として工事を受注している

  • 元請工事を受注しているが、下請契約の総額が基準額未満である
  • 元請として工事を受注しても、自社施工の割合が大きい
  • 今後も特定建設業の基準額以上の下請発注を予定していない

一方、次のような会社では、特定建設業の必要性を早めに検討する必要があります。

  • 発注者から直接工事を受注することが多い
  • 大規模な元請工事を受注する予定がある
  • その工事で複数の下請業者を利用する予定がある
  • 1件の元請工事について、下請契約の総額が5,000万円以上になる見込みがある
  • 建築工事業について、下請契約の総額が8,000万円以上になる見込みがある

特に、これから大きな元請工事を受注する場合には、契約を締結した後ではなく、見積段階・受注前の段階で下請発注予定額まで確認しておくことが重要です。

「工事金額」だけで判断しないことが大切です

一般建設業と特定建設業の判断で、
「この工事は1億円だから特定」
「この工事は5,000万円だから一般」
というように、元請工事の請負金額だけで判断するのは適切ではありません。
確認したいのは、次のような事項です。

  1. 誰から工事を請け負うのか
  2. 自社は元請なのか、下請なのか
  3. どの建設業の業種に該当する工事なのか
  4. その工事について、どの程度の下請契約を締結するのか
  5. 複数の下請契約がある場合、その総額はいくらなのか
  6. 消費税・地方消費税を含めた金額はいくらなのか
  7. 元請から支給される材料等があるか
  8. 今後も同様の元請工事を受注する予定があるか
  9. 特定建設業の財産的基礎等の要件を満たしているか
  10. 特定建設業者として必要となる施工体制・下請管理に対応できるか

これらを確認したうえで、一般建設業・特定建設業のどちらが必要なのかを判断することになります。

具体例で確認してみましょう

ケース1:1億円の工事を元請で受注し、下請発注は4,000万円

建築工事業以外の工事について、

  • 元請工事:1億円
  • 下請契約総額:4,000万円

というケースであれば、元請工事が1億円だからという理由だけで特定建設業が必要になるわけではありません。
下請契約の総額が5,000万円未満であれば、一般建設業許可で対応できる場合があります。

ケース2:8,000万円の工事を元請で受注し、下請発注は5,500万円

建築工事業以外の工事で、

  • 元請工事:8,000万円
  • 下請契約総額:5,500万円

であれば、特定建設業の基準である5,000万円以上となります。
したがって、特定建設業許可が必要となります。

ケース3:1社あたりは5,000万円未満だが、下請契約の合計が5,000万円以上

例えば、

  • A社:2,000万円
  • B社:1,500万円
  • C社:2,000万円

という場合、1社ごとの契約額は5,000万円未満ですが、合計すると5,500万円です。
同じ元請工事に関する下請契約であれば、総額で判断するため、建築工事業以外では特定建設業の許可が必要となります。

まとめ|「工事が大きいか」ではなく「元請としていくら下請に出すか」を確認する

一般建設業と特定建設業の違いを考えるとき、最も重要なのは、
「発注者から直接請け負った1件の工事について、いくらの下請契約を締結するのか」
という点です。
現在の基準は、

  • 建築工事業:8,000万円以上
  • 建築工事業以外:5,000万円以上

です。
この金額基準は、2025年2月1日から引き上げられました。
また、複数の下請契約がある場合には、その総額で判断します。
さらに、下請契約に係る消費税・地方消費税相当額は含まれますが、元請負人が提供する材料等の価格は、特定建設業の判定における下請代金額には含まれません。
そして、特定建設業では一般建設業よりも厳しい財産的基礎の要件が設けられているほか、施工体制や下請負人の保護に関する義務についても確認が必要です。
そのため、
「この工事はいくらだから特定」
と単純に判断するのではなく、
「誰から受注し、どの業種の工事について、誰に、いくらの工事を下請発注するのか」
という契約関係まで整理することが重要です。

弊所では「受注形態」と「下請契約」を整理します

一般建設業と特定建設業の判断では、単に「何円の工事を受注したか」だけを見るのではなく、
「誰から受注し、誰に、どの程度の金額で発注するのか」
という契約関係を確認することが重要です。
弊所では、現在の事業内容や受注状況をお伺いしたうえで、

  • 主な受注先
  • 元請・下請の別
  • 工事の種類
  • 許可を取得しようとする業種
  • 元請工事の請負金額
  • 下請契約の予定額
  • 複数の下請契約がある場合の総額
  • 支給材料等の有無
  • 今後予定している工事
  • 一般建設業・特定建設業のどちらを検討すべきか
  • 特定建設業の財産的基礎等の要件を満たしているか

などを整理します。
特に、これから大きな元請工事を受注する予定がある場合には、契約を締結してからではなく、受注前の段階で下請発注の予定額まで確認しておくことをおすすめします。
なお、建設業許可は工事の業種ごとに取得する制度であり、一般建設業・特定建設業の判断も業種ごとに行う必要があります。
実際の許可申請や具体的な工事について判断する場合には、最新の法令、政令、許可行政庁の取扱い、および個別の契約内容を確認する必要があります。

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