「建設業許可を取りたいけれど、自社は要件を満たしているのか分からない」
「建設業の経験はあるけれど、これで許可を取れるのか分からない」
「資格や事務所についても条件があるの?」
建設業許可を検討すると、このような疑問が出てきます。
建設業許可は、単に「建設業の経験がある」「資格を持っている」というだけで取得できるものではありません。
法律上の許可要件を満たしていることに加えて、そのことを確認できる資料を準備できるかという点も重要です。
この記事では、建設業許可を検討するときに、まず確認しておきたい全体像を整理します。
建設業許可で確認する主な事項
建設業許可では、建設業法上、主に次の5つの許可要件を確認します。
| 許可要件 | 主な確認内容 |
| 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力 | 常勤役員等の経験や、必要な経営体制など |
| 適切な社会保険への加入 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況など |
| 営業所技術者等の配置 | 許可業種に応じた資格・実務経験や専任性など |
| 誠実性 | 請負契約について不正・不誠実な行為をするおそれがないこと |
| 財産的基礎等 | 請負契約を適切に履行するための財産的基礎等 |
これらとは別に、建設業法上の欠格要件に該当しないことも確認する必要があります。
また、実際の申請では、建設業を営む営業所の所在地や使用状況などについても確認する必要があります。
つまり、
「許可要件を満たしているか」
だけでなく、
「どこで建設業の営業を行っているのか」
「必要な人を配置できるのか」
「それらを確認できる資料があるのか」
まで整理することが大切です。
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力
建設業許可では、建設業に係る経営業務を適正に行うための体制について、法令上の基準を満たす必要があります。
法人であれば常勤役員等、個人事業であれば本人や支配人などについて、建設業の経営業務に関する経験等を確認します。
ここで重要なのは、
「建設業を長く経験している」
という事実だけでは判断できないことです。
例えば、
- 誰が経験していたのか
- どの会社・事業で経験したのか
- どのような立場だったのか
- どのような経営業務を行っていたのか
- いつからいつまで経験していたのか
- その経験を確認できる資料があるのか
などを整理する必要があります。
また、現在の制度では、一定の要件を満たす常勤役員等と、財務管理・労務管理・業務運営を直接補佐する者による体制で要件を満たす方法もあります。
経営業務の管理体制について詳しくは、こちらをご覧ください。
→ 建設業許可の経営業務の管理体制とは?
社会保険等の加入状況
建設業許可では、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、法令上の適用関係に応じた加入・届出の状況を確認します。
ただし、すべての事業者が同じ条件で加入するという意味ではありません。
例えば、
- 法人か個人事業か
- 従業員がいるか
- 社会保険の適用事業所に該当するか
- 雇用保険の適用事業に該当するか
などによって確認内容が異なります。
そのため、
「社会保険に入っているか」だけではなく、「自社にはどの保険の適用があるのか」から確認することが大切です。
営業所技術者等を配置できるか
許可を受けようとする営業所には、許可業種に応じて、一定の資格や実務経験等を有する営業所技術者等を専任で配置する必要があります。
確認するのは、例えば、
- 保有している資格
- 学歴と実務経験の関係
- 必要な実務経験
- 実務経験を確認できる資料
- 営業所での専任性
などです。
ここで注意したいのは、
「資格を持っていれば、どの業種でも営業所技術者等になれる」というわけではない
ということです。
資格の種類と、取得しようとする許可業種との関係を確認する必要があります。
営業所技術者等について詳しくは、こちらをご覧ください。
→ 建設業許可の営業所技術者等とは?
財産的基礎等を満たしているか
建設業許可では、請負契約を適切に履行するための財産的基礎等についても確認します。
一般建設業では、例えば、
- 自己資本の額が500万円以上であること
- 500万円以上の資金を調達する能力があること
- 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること
など、法令上定められた基準のいずれかに該当することが必要です。
したがって、
「銀行口座に500万円あれば許可を取れる」
という単純な判断はできません。
会社の決算内容や過去の許可の有無などを確認し、どの基準によって要件を満たすのかを整理する必要があります。
なお、特定建設業では財産的基礎等の基準が異なります。
誠実性と欠格要件を確認する
建設業許可では、請負契約について不正または不誠実な行為をするおそれがないことも確認されます。
また、これとは別に、建設業法上の欠格要件に該当しないことも必要です。
例えば、
- 過去の許可取消し等に関する事情
- 一定の刑罰を受けたこと
- 建設業法上の欠格事由
- 暴力団員等との関係
などが問題となる場合があります。
過去の行政処分や刑罰など、気になる事情がある場合には、申請直前ではなく、早い段階で確認しておくことが大切です。
営業所についても確認が必要です
建設業許可では、建設業の営業を行う営業所についても確認が必要です。
ここでいう営業所は、単に会社の登記上の本店や、住所を置いている場所を指すものではありません。
例えば、
- 建設工事の請負契約の見積り
- 入札
- 契約の締結
など、請負契約の締結に関する実体的な行為を行う事務所は、建設業法上の営業所に該当します。
一方、単なる連絡事務所などは、建設業法上の営業所に該当しない場合があります。
また、営業所については、使用権限や設備、営業所技術者等の常勤など、許可行政庁によって確認される事項があります。
例えば大阪府では、営業所について、事務所を常時使用する権限、商号・名称の表示、固定電話・事務機器・机等の設備、営業所技術者等の常勤などを確認事項として案内しています。
ただし、大阪府の申請実務をそのまま全国共通のルールとして考えることはできません。
大阪府知事許可については大阪府の手引き、奈良県知事許可については奈良県の案内、三重県知事許可については三重県の案内など、実際に申請する行政庁の最新の取扱いを確認する必要があります。
営業所の所在地と知事許可・大臣許可の関係については、こちらで詳しく解説しています。
→ 知事許可と大臣許可の違い|営業所の所在地で決まる建設業許可
「要件を満たしている」だけでなく「確認できる資料」が重要です
建設業許可を検討するとき、特に注意したいのがこの点です。
例えば、
「以前の会社で10年以上、建設業に関わっていた」
「建設関係の資格を持っている」
という場合でも、それだけで申請できるとは限りません。
実際には、
- どの会社で経験したのか
- どのような立場だったのか
- どのような業務を行ったのか
- いつからいつまで経験したのか
- その経験を確認できる資料があるのか
などを整理する必要があります。
特に、
「以前勤務していた会社が廃業している」
「古い資料が残っていない」
「以前の勤務先から証明書類を取得することが難しい」
といった場合には、早めに確認しておくことが大切です。
建設業許可では、「経験があるか」だけでなく、「その経験を確認できるか」まで考えて準備することが重要です。
建設業許可の要件は、会社ごとに確認する必要があります
建設業許可の要件は、すべての事業者に同じように当てはめればよいわけではありません。
例えば、
- 法人か個人事業か
- 一般建設業か特定建設業か
- どの業種の許可を受けるのか
- 営業所をどこに設けるのか
- 経営業務の経験を誰が有しているのか
- 営業所技術者等を誰が務めるのか
- 会社の財務状況はどうなっているのか
- 過去の経験を確認できる資料があるのか
によって、確認すべき事項が変わります。
また、建設業許可は、29業種のどの業種について許可を受けるのか、一般建設業・特定建設業のどちらなのか、知事許可・大臣許可のどちらに該当するのかなども整理する必要があります。
これらについては、それぞれ別の記事で詳しく解説しています。
→ 知事許可と大臣許可の違い|営業所の所在地で決まる建設業許可
「建設業許可を取れるか分からない」という段階からご相談いただけます
建設業許可について、
「自分の経験で要件を満たせるのか分からない」
「営業所技術者等になれる資格があるのか分からない」
「以前の会社での経験をどう確認すればよいのか分からない」
「事務所について何を確認すればよいのか分からない」
「会社の決算内容で財産的基礎等を満たせるのか分からない」
「そもそも何から確認すればよいのか分からない」
という場合もあります。
弊所では、いきなり申請書類を揃えるのではなく、まず現在の状況をお聞きし、
事業内容
↓
許可の必要性
↓
許可業種・許可区分
↓
許可要件
↓
営業所・技術者
↓
確認資料
↓
今後の準備
という順番で整理します。
まだ建設業許可を申請すると決めていない段階でもご相談いただけます。
「許可を取れるか分からない」という段階から、確認すべきことを一つずつ整理します。
まとめ|建設業許可は「要件」と「確認資料」を一緒に考えます
建設業許可では、主に、
- 経営業務を適正に行うための体制
- 社会保険等
- 営業所技術者等
- 誠実性
- 財産的基礎等
について、法令上の要件を確認します。
また、欠格要件に該当しないことも必要です。
さらに、実際の申請では、営業所の所在地や使用状況などについても確認する必要があります。
そして重要なのは、
「要件を満たしているか」
だけではありません。
「そのことを確認できる資料があるか」
まで整理することが大切です。
「自分の場合、建設業許可を取れるのか?」
「何を確認すればよいのか?」
と迷ったときは、まず現在の事業内容、経営経験、資格、営業所、会社の状況、手元にある資料などを整理するところから始めてみてください。
弊所では、建設業許可について、何から考えればよいか分からない段階からご相談いただけます。

