経営事項審査(経審)の結果を見ると、「W」という項目があります。
「W点は何を評価しているの?」
「どんな取組をしていると加点されるの?」
「建設機械を持っていると加点される?」
「社会保険に加入していれば加点されるの?」
このように、W点については分かりにくい部分も少なくありません。
Wは、経審における「その他の審査項目(社会性等)」です。
完成工事高や財務内容、技術職員数だけではなく、建設業の営業継続、防災活動、法令遵守、建設業の経理、建設機械の保有など、会社のさまざまな取組等が評価されます。
この記事では、W点の全体像と主な評価項目を分かりやすく整理します。
個々の加点要件や必要書類をすべて説明するのではなく、「Wでは何が評価されているのか」を理解することを目的としています。
- W点とは?
- W点はP点にどのくらい影響する?
- W1|建設工事の担い手の育成・確保
- W2|建設業の営業継続
- W3|防災活動への貢献
- W4|法令遵守
- W5|建設業の経理
- W6|研究開発
- W7|建設機械の保有
- W8|ISO等の認証・登録
- W点は「加点項目を集めるだけ」ではない
- W点を上げるには、すべての項目に取り組む必要がある?
- W点の確認で注意したい「審査基準日」
- W点の必要書類は会社によって異なる
- W点だけでP点を考えないことも重要
- W点を上げたいと思ったら、まず現在の評価を確認
- 2026年7月1日以降の制度に注意
- W点についてよくある質問
- まとめ
- 経審のW点について確認したい建設業者の方へ
- よく読まれる「経審ブログ」
- 経審について相談したい方へ
W点とは?
Wは、経営事項審査における「その他の審査項目(社会性等)」です。
2026年7月1日以降の申請では、国土交通省の資料上、Wは次の8つの区分から構成されています。
| 区分 | 主な評価内容 |
| W1 | 建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組 |
| W2 | 建設業の営業継続 |
| W3 | 防災活動への貢献 |
| W4 | 法令遵守 |
| W5 | 建設業の経理 |
| W6 | 研究開発 |
| W7 | 建設機械の保有 |
| W8 | ISO等の認証・登録 |
国土交通省の2026年7月1日改正資料では、この8区分で整理されています。
Wは、これらの項目を通じて、建設業者の社会性等を評価するものと考えると分かりやすいでしょう。
W点はP点にどのくらい影響する?
経審では、WだけでP点が決まるわけではありません。
現在のP点は、
P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.20Y + 0.25Z + 0.15W
という算式で算出されます。
Wのウェイトは15%です。
つまり、Wは経審全体の中で一定の影響を持つ評価項目ですが、
「Wだけを確認すればP点が分かる」
というものではありません。
X1・X2・Y・Z・Wそれぞれの役割については、こちらの記事で全体像を整理しています。
「経審のX1・X2・Y・Z・Wとは?評価項目をわかりやすく解説」
また、P点そのものについて詳しく知りたい方は、
「経審のP点とは?総合評定値の見方」
をご覧ください。
W1|建設工事の担い手の育成・確保
W1は、建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組を評価する区分です。
建設業では、技能者や技術者などの担い手を確保し、育成していくことが重要な課題となっています。
経審でも、こうした担い手の育成・確保に関する取組が評価対象となっています。
2026年7月1日以降の申請では、例えば、
- 建設技能者を大切にする企業の自主宣言
- 若年技術者・技能者の育成等に関する取組
- 女性の活躍に関する取組
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)に関する取組
など、複数の項目が関係します。
ただし、単に制度に登録しているだけで、すべての項目が自動的に加点されるわけではありません。
審査基準日や必要な取組、確認資料など、それぞれ要件があります。
特に2026年7月1日以降の申請では、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」に関する評価が新設されています。国土交通省の制度案内では、一定の要件を満たした自主宣言について経審の加点対象となることが示されています。
W2|建設業の営業継続
W2は、建設業を継続して営んでいることに関する評価です。
建設業の営業年数など、事業を継続してきた期間が評価に関係します。
長く営業している会社であれば、それまでの営業実績がWの評価につながる場合があります。
一方で、これは短期間で対策できるような項目ではありません。
そのため、
「次回の経審までに営業年数を増やして加点する」
という性質のものではなく、会社の営業実績を経審上評価する項目と考えると分かりやすいでしょう。
W3|防災活動への貢献
W3は、防災活動への貢献を評価します。
例えば、地方公共団体等との間で災害時の対応に関する協定を締結している場合など、一定の防災活動への貢献が評価対象となります。
ただし、
「防災協定を結べば必ず加点される」
とは限りません。
経審上の評価対象となる協定であることや、審査基準日など、所定の要件を満たす必要があります。
防災活動に関する取組を行っている会社は、経審申請の際に評価対象となるか確認しておくとよいでしょう。
W4|法令遵守
W4は、法令遵守の状況に関する評価です。
経審では、会社がさまざまな社会的取組を行っているかだけではなく、法令を遵守して事業を行っているかという点も評価されます。
そのため、W点を「加点項目の一覧」とだけ考えるのは適切ではありません。
Wには、一定の場合に減点となる項目もあります。
つまり、
「加点できるものを探す」
だけではなく、
「減点につながる事項がないか確認する」
ことも重要です。
経審対策というと加点ばかりに目が向きがちですが、まず法令遵守などの基本的な部分を確認することが大切です。
W5|建設業の経理
W5は、建設業の経理に関する状況を評価します。
建設業では、一般的な会計処理だけでなく、建設業特有の会計処理について適切に対応することが求められます。
経審でも、建設業の経理に関する一定の体制や資格者等が評価対象となります。
ここでは、
「資格者がいれば必ず加点される」
と単純に考えないことが重要です。
資格の種類や配置状況、審査基準日など、経審上の要件を確認する必要があります。
建設業会計や財務諸表については、経審のY点とも関係するため、Wだけを切り離して考えないことも大切です。
W6|研究開発
W6は、研究開発の状況を評価する項目です。
建設業者が研究開発に取り組んでいる場合、一定の要件を満たすことで評価対象となります。
ただし、すべての建設業者に研究開発が必要というわけではありません。
研究開発に関する費用等について、経審上の評価対象となるかを確認する必要があります。
そのため、
「W点を上げるために研究開発を行う」
という考え方ではなく、実際に研究開発を行っている会社が、経審上適切に評価されるかを確認する項目と考える方が自然です。
W7|建設機械の保有
W7は、建設機械の保有状況を評価します。
一定の建設機械を保有している場合、その保有状況が経審上評価されることがあります。
ただし、建設機械であれば何でも評価されるわけではありません。
対象となる機械の種類や、所有・リース等の取扱い、審査基準日などについて要件があります。
また、2026年7月1日以降の申請では、加点対象となる建設機械が追加されています。
そのため、以前に作成した経審チェックリストを利用する場合には、現在の制度に対応しているか確認することが必要です。
W8|ISO等の認証・登録
W8は、ISO等の認証・登録の状況を評価する項目です。
国土交通省の現行資料では、国または国際標準化機構が定めた規格による認証・登録の状況が評価対象として整理されています。
代表的なものとしてISOの認証があります。
ただし、
「ISOを取得すれば必ずP点が大きく上がる」
というように単純に考えるべきではありません。
取得・維持には費用や社内体制の整備なども必要となるため、経審上の評価だけを目的として取得を検討するのではなく、会社の事業方針とのバランスを考える必要があります。
W点は「加点項目を集めるだけ」ではない
W点について、よくある誤解があります。
それは、
W点=加点できる項目をどれだけ持っているか
という考え方です。
実際には、それだけではありません。
Wには、
- 担い手の育成・確保
- 営業継続
- 防災活動
- 法令遵守
- 建設業の経理
- 研究開発
- 建設機械
- ISO等
といった幅広い項目が含まれています。
また、一定の場合には減点となる項目もあります。
そのため、W点を確認するときは、
①加点できる項目
だけでなく、
②現在すでに評価されている項目
③今後評価対象になり得る項目
④減点につながる事項がないか
という視点で確認することが重要です。
W点を上げるには、すべての項目に取り組む必要がある?
その必要はありません。
Wには多くの評価項目がありますが、すべての会社がすべての項目で加点を受ける必要があるわけではありません。
例えば、
- 建設機械を多く使用する会社
- 防災活動に積極的に参加している会社
- 若手技術者の育成に力を入れている会社
- ISO認証を取得している会社
では、それぞれ評価につながる可能性のある項目が異なります。
また、経審上の加点だけを目的として新たな制度や認証を導入することが、必ずしも会社にとって合理的とは限りません。
まずは現在の会社の状況を確認し、すでに行っている取組が経審上どのように評価されているのかを確認することが先です。
W点の確認で注意したい「審査基準日」
Wの項目を確認するときには、いつの時点で要件を満たしている必要があるのかにも注意が必要です。
経審では、すべての項目が「申請日に条件を満たしていればよい」というわけではありません。
審査基準日や対象期間、取組の開始時期など、それぞれの項目について要件があります。
例えば、2026年7月1日から経審の加点対象となった「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」についても、国土交通省の案内では、審査基準日における宣言状況や、取組開始日以降に取り組む旨の誓約など、一定の要件が示されています。
そのため、
「申請直前に手続きをすれば加点される」
とは限りません。
W点を意識するのであれば、次回の経審直前ではなく、早めに確認しておくことが重要です。
W点の必要書類は会社によって異なる
Wの評価を受けるために必要となる資料は、どの項目について申請するのかによって異なります。
例えば、
- 防災協定に関する資料
- 建設機械に関する資料
- ISO等の認証に関する資料
- 資格者等に関する資料
など、それぞれ確認すべき資料があります。
また、申請先によって提出書類や確認方法が異なる場合もあります。
そのため、
「W点の必要書類はこれだけ」
と一律に考えるのではなく、実際に申請する項目と申請先の最新の手引き等を確認する必要があります。
必要書類について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
「経審の必要書類は?準備しておきたい資料」
W点だけでP点を考えないことも重要
WはP点の15%を占めるため、経審では無視できない項目です。
一方で、P点はWだけでなく、
- X1
- X2
- Y
- Z
- W
の5項目から算出されます。
例えば、Wでいくつか加点を受けたとしても、それだけでP点全体が大きく上昇するとは限りません。
そのため、
「W点を上げれば入札に有利になる」
と単純に判断するのではなく、自社のP点全体を見ながら考えることが大切です。
P点の見方については、
「経審のP点とは?総合評定値の見方」
で詳しく解説しています。
W点を上げたいと思ったら、まず現在の評価を確認
「W点をもっと上げたい」と考えた場合、いきなり新しい制度や認証を探すのではなく、まず現在の経審結果を確認してみましょう。
確認したいのは、
- 現在どのW項目で評価されているか
- 前回と比べてW点がどう変化したか
- すでに行っている取組で、評価対象として確認できていないものがないか
- 次回の審査基準日までに対応できる項目があるか
- W以外のX1・X2・Y・Zに課題がないか
といった点です。
特に、経審の評点改善はWだけで考えるものではありません。
会社によっては、Wの対策よりも完成工事高、技術職員、財務内容などを確認する方が重要になる場合もあります。
評点改善全体については、別の記事で詳しく解説します。
「経審の評点を上げるには?まず確認したいポイント」
2026年7月1日以降の制度に注意
経審のWは、制度改正によって評価項目が変わることがあります。
2026年7月1日以降の申請については、Wの評価項目が見直され、
- 建設技能者を大切にする企業の自主宣言に関する評価の新設
- 建設機械の評価対象の追加
- 社会保険加入状況に関する従来の評価項目の削除
などが行われています。
そのため、インターネット上で見つけた古い「経審W点の一覧」や「W点加点表」をそのまま使用するのは避けた方がよいでしょう。
実際に経審を申請する場合には、申請先の最新の手引き・様式・取扱いを確認することが必要です。
W点についてよくある質問
Q. W点は加点項目が多い会社ほど高くなりますか?
A. 一概にはいえません。
Wは複数の評価項目から構成されていますが、各項目にはそれぞれ要件があります。
また、一定の場合には減点となる項目もあります。
そのため、単純に「加点項目の数」だけでW点を判断することはできません。
Q. 建設機械を持っていれば加点されますか?
A. 一定の要件を満たす建設機械が評価対象となります。
建設機械であればすべて評価されるわけではないため、対象となる機械の種類や保有状況等を確認する必要があります。
Q. ISOを取得すればW点は上がりますか?
A. 経審上の評価対象となる認証・登録であれば、一定の評価につながる場合があります。
ただし、取得していれば必ず大きくP点が上がるというものではありません。
取得・維持にかかる負担も含め、会社にとって必要な制度かどうかを考えることが重要です。
Q. W点を上げれば入札で有利になりますか?
A. WはP点の一部を構成するため、Wの評価はP点に影響します。
ただし、P点はX1・X2・Y・Z・Wを組み合わせて算出されます。
また、実際の入札参加資格や格付け、発注条件等は発注者や自治体ごとの制度によって異なります。
そのため、W点だけで入札の可否や格付けを判断することはできません。
まとめ
経審のWは、「その他の審査項目(社会性等)」です。
2026年7月1日以降の申請では、主に次の8区分から構成されています。
- W1:建設工事の担い手の育成・確保
- W2:建設業の営業継続
- W3:防災活動への貢献
- W4:法令遵守
- W5:建設業の経理
- W6:研究開発
- W7:建設機械の保有
- W8:ISO等の認証・登録
WのウェイトはP点の15%です。
ただし、W点を高くすることだけを考えるのではなく、X1・X2・Y・Zを含めたP点全体を見ることが重要です。
また、Wの評価項目にはそれぞれ細かな要件があり、審査基準日や必要書類にも注意が必要です。
「自社ではどのW項目が評価対象になるのか」
「現在のW点を確認したい」
「次回の経審までに確認しておくべき項目を整理したい」
という場合は、現在の経審結果や会社の状況を確認したうえで検討することをおすすめします。
経審のW点について確認したい建設業者の方へ
W点は評価項目が多いため、自社でどこを確認すればよいのか分かりにくい場合があります。
すでに経審を受けている会社であれば、まず現在の結果通知書を確認し、
「今、どの項目で評価されているのか」
を整理するところから始めると分かりやすいでしょう。
W点だけでなく、P点全体や次回の経審までのスケジュールも含めて確認したい場合は、事前にご相談ください。
経営事項審査(経審)のサポートについてはこちら
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「自社の場合、何を準備すればよいのか分からない」
「経審を受ける予定だが、どこから準備すればよいのか分からない」
といった場合は、現在の状況をお聞かせください。
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